創業時から培ってきたクレジット事業を核とし、新たな事業の可能性を追求し続けているジャックス。多様化するニーズに応えるべく、ITを活用した新たなビジネスフィールドにも積極的に進出している。2016年11月、信販会社として国内で初めてクラウドファンディング事業に進出した。その立案者である横須賀秀明氏に話を聞いた。

クループ戦略事業部

新事業開発課

スタッフマネジャー

横須賀秀明

1996年入社。仙台支社、大宮支店を経て、2011年にクレジット企画部にて新商品企画・開発を担当。2014年より現職。

クレジット会社だからできるクラウドファンディング

ー日本のクラウドファンディングの状況を教えてください。

クラウドファンディングは、「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」を組み合わせた造語で、2001年にアメリカでスタートしたフィンテックを活用した新たな資金調達手段です。資金調達者は起案者(チャレンジャー)として、インターネット上で自分の夢や活動を発信。共感したり、応援したいと思った人は支援者(サポーター)となって、資金協力を行います。日本のクラウドファンディング元年は2011年。東日本大震災の復興活動資金調達手段として活用されたのがきっかけです。2013年度は124億円だった市場規模は2017年度には1,090億円へと急成長しました。

ー他のクラウドファンディング事業者との違いは?

クラウドファンディングは「寄付型」「購入型」「貸付型」「投資型」「株式型」の5種類あります。「寄付型」「購入型」は現在のところ事業参入に法規制はありませんが、「貸付型」「投資型」「株式型」は貸金業法・金融商品取引法の適用を受けるため、事業参入には制限があり、事業者がスクリーニングされることになります。現在「寄付型」「購入型」を取り扱う他のクラウドファンディング事業者は起案者(チャレンジャー)と支援者(サポーター)を仲介するのみで、その他の機能は無い状況です。その点貸金業者である当社は、機能追加が前提となりますが、例えばチャレンジ目標未達成案件の差額補填、チャレンジ達成者に対する新たな活動資金の貸付といった別のファイナンス機能を組み合わせることができる点が最大の強みです。
クラウドファンディング事業者にとって最大の課題は、有望チャレンジャーの発掘です。当社はクレジット事業、カード・ペイメント事業、ファイナンス事業を通して、様々な業種の事業の将来性を見抜く「目利き」が培われています。
また、クラウドファンディングの成否のカギを握るのは、情報の拡散とインフルエンサーの発掘といっても過言ではありません。加盟店・クレジット会員という情報拡散基盤を持っていることも、他のクラウドファンディング事業者と一線を画す点です。

足で探したプロジェクトからスタート

ーこれまでの歩みは?

クラウドサイト上にプロジェクトに対する批判が殺到する「炎上」や約束されたリターン(商品・サービス)が届かない等、クラウドファンディングをめぐり様々なトラブルが起きています。
「ジャックスのクラウドファンディングだから安心」と、当社への信頼から出資を決める方もいらっしゃるはずです。その信頼を裏切らないためにも、掲載案件はかなり厳選しております。年間で70件近くのチャレンジ希望の一般応募がありましたが、結局1件も取上げられず、共感できる、応援したいと思える良質な案件を自分の足で探しました。
クラウドファンディングは資金調達手段であると同時に全国に向けたPR手段でもあります。PRが必要な資金調達のニーズが強いのは地方です。当社の創業の地である函館の地域活性化に貢献したいという思いもあり、初プロジェクトは函館にターゲットを絞りました。

第一弾は市民創作函館野外劇です。会場となっている五稜郭の石垣崩落による補修工事期間の活動制限、団体の活動メンバーの高齢化、後継者不足により存続の危機に見舞われていると聞き、当社のクラウドファンディングの最初のチャレンジャーになっていただくことをご提案しました。第二弾は、自己資金不足から自主公演を断念していた函館子ども歌舞伎です。道内だけでなく道外からのサポーターの獲得に成功し、「PRの場が広がった」と、大変喜んでいただきました。
一般応募案件の掲載もようやく実現致しました。その第一号として選んだのは、エチオピアでの乳製品事業立ち上げのための設備投資資金を集うクラウドファンディングです。
舞台は海外に広がったうえに、まさにゼロからの事業化を目指す資金調達となります。我々にとっても、目標であるファイナンス機能追加にコマを進める基盤づくりとして、新たなチャレンジが始まります。

地道な作業、検証の繰り返しが新規事業を生む

ー新商品、新事業開発で大切なことは?

一度であきらめずに提案し続けること。アイディア創出から事業化承認までは、人知れず地道な作業・検証の繰り返しとなります。事業性・継続性はあるか、適用法の有無等、法的問題はクリアできるか、リスクは何か、リスクを克服するための課題はないか。企画書一つとっても一度で完成するものではなく、改善を重ねた末に出来上がるものです。

私が最初にクラウドファンディング事業の提案をしたのは、2014年に新事業開発部(現グループ戦略事業部)に配属された直後でした。当時はクラウドファンディングといえば、寄付型や購入型が主流で、世間同様、社内でもほとんど認知されていませんでした。提案当初はクラウドファンディングの解説に始まり、解説に終わるという感じで、クレジット会社である当社が参入する意義が理解され、事業化が承認されるまで約2年間の年月を費やしました。この間、現在着手していることは「未来にタネをまく仕事」だ、と日々自分を奮い立たせ、提案し続けたからこそ、事業化にこぎつけることができたと思います。