繰り上げ返済にも種類がある?住宅ローンの賢い返済法

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一般的に借り入れ金額の大きい住宅ローン。数千万円を借り入れる人も多いでしょう。資金繰りに余裕ができてきたら、繰り上げ返済をすると利息を減らすことができておトクです。繰り上げ返済には2種類あり、知っておくべき注意点があります。しっかり理解しておきましょう。

返済期間を短くするか、返済額を減らすか

住宅ローンを組んだ後、何年か経って家計が楽になると「住宅ローンを見直したい」と思うことがあるでしょう。住宅ローンを見直す方法には主に「繰り上げ返済」「条件変更」「借り換え」の3つがありますが、もっとも手間がかからずにできるのが繰り上げ返済です。

繰り上げ返済とは?
繰り上げ返済とは、毎月の通常返済分とは別に、まとまった資金を投入して借入額の一部を前倒しして返済することをいいます。繰り上げ返済した分は、経過利息(前回の返済日から繰り上げ返済日までの期間にかかる利息)および元金(利息以外の「借り入れした額」)の返済に充てられます。元金が減るため、本来払うはずだった元金に対する利息も減り、総返済額が少なくなるのです。総返済額を数百万円減らせることもあり、上手に繰り上げ返済をすれば家計の大きな助けになります。
期間短縮型と返済額軽減型

繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型の2つのタイプがあります。

  • 期間短縮型

    一部繰り上げ返済前 一部繰り上げ返済後

    こちらは「毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする」方法です。返済が短縮された期間分の利息を減らすことができます。早く総返済額を減らしたい人や、完済する時期を早めたい人に向いています。

  • 返済額軽減型

    一部繰り上げ返済前 一部繰り上げ返済後

    一方こちらは「返済期間は変えずに、毎月の返済額を減らす」方法です。期間短縮型よりは利息支払いの節約効果は落ちるものの、毎月の返済額が減ります。教育費や臨時支出など将来の支出増加に備えたいときや収入が下がっているときに有効です。

繰り上げ返済の注意点

繰り上げ返済の注意点を見てみましょう。

  • 手数料がかかることもある
    現在は繰り上げ返済手数料が無料の金融機関も多いのですが、金融機関の窓口で返済手続きをすると手数料がかかる場合があります。また、インターネットで返済を行えば手数料がかからない場合も多いです。窓口返済とネット返済では繰り上げ返済の最低金額が異なることも多いので、自分が借り入れている金融機関ではどうなっているか、あらかじめ確認しておく必要があります。
  • 生活費の6か月分は手元に残して
    特に期間短縮型の場合ですが、繰り上げ返済をしすぎて手元資金が枯渇する、いわゆる「繰り上げ返済貧乏」になってしまうことがあります。たとえ住宅ローンの残高が減っても日々の生活ができなくなってしまうのでは本末転倒です。節約効果ばかりに気を取られず、「最低でも基本生活費の6か月分を予備費として手元に残す」ことを心がけましょう。
    なお、繰り上げ返済をしすぎると、もしも繰り上げ返済後に家計が厳しくなった場合、期間延長(借り入れの条件変更)や借り換えが難しくなることもあるため、注意が必要です。

繰り上げ返済は早ければ早いだけおトク!

繰り上げ返済はいつ行うのがよいのか、シミュレーションしてみましょう。

返済期間35年・借入額3,000万円・借入金利2%(全期間固定)、元利均等返済で借りていると仮定

  • 繰り上げ返済しない場合
    総返済額:約4,174万円
  • 2年経過後 300万円を繰り上げ返済(期間短縮型)した場合
    総返済額:約3,920万円(約254万円の利息節約効果)
  • 15年経過後 300万円を繰り上げ返済(期間短縮型)した場合
    総返済額:約4,042万円(約132万円の利息節約効果)

15年経過後でも利息節約効果はありますが、2年経過後の繰り上げ返済と比べると総返済額は約122万円多くなっています。
このように、繰り上げ返済の実行時期は「早ければ早いほどおトク」です。一般的に繰り上げ返済は、「返済開始から早い時期に、返済期間が長く、借入金利が高く、借入額が大きい住宅ローンに対し、期間短縮型で返済する」のがもっとも有利です。

住宅ローン控除との兼ね合いも考えて

繰り上げ返済を行う場合は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)についても考えておきましょう。住宅ローン控除は、自分が住む家を購入して住宅ローンを組んだ場合、年末の住宅ローン残高1%分の所得税の還付や住民税の減税が受けられる制度。適用期限は平成31年6月末まで延長され、最大控除額は10年で400万円にも及びます。上手に活用したい制度ですね。
しかし、住宅ローン控除を受けるためには、年収や床面積のほかに、「住宅ローンの借入期間が10年以上であること」という条件があります。たとえば期間短縮型で多額の繰り上げ返済を行い返済期間が極端に短くなった場合、借入期間が通算10年より短くなり、条件から外れる場合もあることにご注意ください。また、年間の控除額が当初の予定より減って、条件によっては損をするケースもあります。


繰り上げ返済は家計を助ける有効な手段ですが、実行前に、今後の家計収支がどうなるか、現在の生活条件に変化が生じないか、といったライフプランをしっかり考えることが大切です。多くの金融機関では繰り上げ返済のシミュレーションツールを提供していますので、事前に利息の節約効果を計算しておく必要があります。2つの繰り上げ返済を目的に応じて使い分け、上手に節約しましょう。

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ライター紹介

一色徹太
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
金融商品や保険を販売しない中立的な独立系のファイナンシャル・プランナーとして、個人のマネー・ライフプラン相談、講演・セミナー、執筆等に従事。東証(東京証券取引所)でJPXアカデミー講座の講師も務めている。
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