自己負担額はどうなる?親が要介護になる前に知りたい介護の話

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すでに超高齢社会に突入している日本において、介護は他人事ではありません。自分の親が要介護になったとき、当然お金の問題も出てきます。そんななか、介護保険法改正により2015年8月から一部利用者の負担が増加しました。今後私たちにどんな影響があるのでしょうか?

介護保険の仕組みを知ろう

40歳以上の人は、健康保険とは別に介護保険に加入して、介護保険料を納める義務があります。少子高齢化・核家族化が進む今、家族だけで介護を行うのは無理があります。そこで、広く国民から介護保険料を徴収し、介護者を社会全体で支え合う仕組みを作ったのが、介護保険制度のはじまりです。

どんな支援が受けられる?

支援・サービスは原則として利用者の自己負担額1割で受けることができ、主な内容は以下のとおりです。

  • 訪問系サービス
    訪問介護・定期巡回など、自宅で支援・サービスを受けられます。
  • 通所系サービス
    通所介護・通所リハビリテーションなど、日帰りでサービスを利用します。
  • 短期滞在系サービス
    短期間のみ特定の施設へ入居します。普段は家族が介護しているけれど、旅行や介護者の体調不良により一時的に介護ができないような場合に利用します。
  • 居住・入居系サービス
    有料老人ホーム・特別養護老人ホームへの入居など、基本的に終の棲(すみ)家としての役割を果たします。

サービスの種類が多く、何を選択すればいいのか迷っても大丈夫です。介護の入り口で最初に相談に乗ってくれるケアマネージャーがいますので、まずはこの介護のプロにケアプランを作成してもらいましょう。ケアプラン作成後も、不安があれば相談に乗ってもらうことができます。

改正に伴い、条件によっては自己負担増

せっかくの介護保険制度ですが、高齢化が進み、実際のところ介護保険料でまかなわれているのは総額の半分にすぎません。残りの部分は国や自治体の負担する公費によって運営されています※。

  • 平成24~平成26年の財源の場合。厚生労働省「公的介護保険制度の現状と今後の役割」より

今後はさらに利用者が増えることが予想されるため、法改正によって低所得者の保険料軽減が拡大された一方、一部の人は負担が大きくなりました。

収入が多い人は自己負担額がアップ
「自己負担額1割」の原則は変わりませんが、財政の厳しさを受け、2015年8月より一定の所得を超える人の自己負担が2割へ引き上げられました。所得要件は160万円となります。
ここでいう160万円とは、公的年金控除や人的控除(配偶者控除や扶養控除)などを引いた後の額なので、年収総額は160万円を超えます。年金生活者の場合、単身者で年収約280万円以上、夫婦世帯で年収約350万円以上というのが、自己負担額2割となる目安です。
月々の介護サービス費の上限が一部引き上げに
所得が多い人は、介護サービス費用の月々負担額の上限も引き上げられました。課税所得が145万円以上で65歳以上の人が同一世帯にいる場合、一部の場合を除いて37,200円から 44,400円になっています。
特別養護老人ホームの入居要件が厳格に
特別養護老人ホームは一般に「特養」と呼ばれる入居型施設。民間の有料老人ホームより利用料が安く、人気があって待機者も多いです。2015年4月以降、特養への新規入居者は要介護度3以上の高齢者に限定されています。要介護度1、2の人は、やむを得ない事情がある場合を除き、新規入居ができません。より症状の重い人が入居しやすくなった一方、比較的症状の軽い人は在宅介護を強いられる可能性が高くなりました。
また、食費・住居費に対する補助条件も厳しくなっています。補助を受ける条件(住民税非課税世帯)の認定が厳しくなったほか、預貯金などが一定の金額以下であるといった資産要件も加わりました。資産要件額は単身者の場合1,000万円、夫婦では2,000万円です。

事前に備える、親の介護

介護問題は「いかに防ぐか」が最大のポイントです。介護状態に陥ると、家族の家計や身体的な負担が重くなります。自治体でも健康診断や健康体操といった予防サービスを充実させていますので、それらを活用してできるだけ介護状態を防ぎましょう。

不安の芽を摘む
「風邪で寝込んでいた」「ケガで安静にしていた」などの小さなきっかけで結果的に歩けなくなってしまった、寝たきりになったという例も多いです。日頃から要介護者本人と家族や周囲の人との連携を保ち、体調の変化を見逃さないにようしましょう。
介護にかかるお金
それでも介護状態になった場合、どのくらいお金がかかるのでしょうか。在宅介護の場合はバリアフリー化の費用が必要です。手すりの設置やドアの交換なら合計20万円程度ですみますが、玄関にスロープを付ける、浴槽を取り換える、といった施工では数十万~数百万円単位になります。
在宅介護が難しい場合はさらに大きな準備が必要です。民間の有料老人ホームでは、入居一時金が数千万円、毎月の費用が15~30万円かかるといわれています。入居一時金が無料の施設もありますが、その場合月々の費用は高くなることが多いです。

介護は、ケースによっては数千万円の費用が発生します。事前に「誰が」「どのように」介護を行うのか、また、発生する費用の目安とその負担について、家族や親族間で話し合っておくとよいでしょう。

参考:
  • 厚生労働省|平成26年介護保険法改正
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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