払わないとどうなる?ちゃんと理解しておきたい年金の仕組み

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まだまだ先のことだけれど、気になる老後の話。社会保障は縮小傾向にありますが、国民年金や厚生年金などの公的年金(以下、年金)は、私たちの老後や障害を負ったときの生活を保障してくれる大切な制度です。その仕組みを理解しておきましょう。

年金は本当にメリットがあるの?

老後の生活を支える大きな柱が年金です。若いうちは実感がわかないかもしれませんが、年金には以下のようなメリットがあります。

生涯に渡って受け取れる
日本の年金制度は、生きている限り受け取ることができる「終身年金」。これはとても大きなメリットです。生命保険会社の個人年金(公的年金に対して、自分で準備するため「私的年金」とよばれます)では、受け取り期間が限られる「確定年金」も多いです。長寿化が進む昨今、終身年金はとてもありがたい存在といえます。
障害給付や遺族給付がある
一定以上の障害状態になった場合には、障害年金を受け取ることができます。受給額は、障害の状態(障害等級)によって異なります。また、遺族に支払われる遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金で構成されており、子どもが18歳未満であれば遺族基礎年金から加算金も支給される仕組みです。
繰り上げ・繰り下げができる
「繰り上げ」とは、本来の受給開始年齢より早く年金を受け取ることです。「繰り下げ」は、逆に受給開始年齢を遅らせて受け取ること。毎月の受給額は一定の計算式によって調整され、繰り上げの場合は減り、繰り下げの場合は増えます。早期退職した場合や、逆に定年を延長して長く働く場合など、老後のライフスタイルに応じて選ぶことが可能です。

年金は「2階建て」?「3階建て」?

日本の年金制度は、家にたとえて「2階建て」「3階建て」などといわれることがありますが、どういう意味でしょうか?意外と複雑な仕組みになっています。

1階部分:全員が加入する国民年金
国民年金は、20歳以上60歳未満の日本に在住する人が全員加入します。そのため、国民年金のことをよく「1階部分」とよびます。
2階部分:会社員や公務員が加入する厚生年金
会社員や公務員は、国民年金と同時に厚生年金にも加入します。この厚生年金が「2階部分」です。自営業者や学生、専業主婦は厚生年金には加入しませんので、2階部分がありません。
3階部分:不足分を補う、その他の年金
2階部分以外にも上乗せされる年金があります。会社員であれば、勤務先で企業年金制度を実施している場合、この企業年金(確定給付企業年金や企業型確定拠出年金)は「3階部分」に該当します。また、自営業者にも国民年金基金や個人型確定拠出年金が用意されており、国民年金に上乗せできるのです。この場合は「2階部分兼3階部分」に該当するといえるでしょう。さらに、自分で生命保険会社の個人年金に加入している場合は、「4階建て」になっているといえます。

ちなみに、自営業者や学生などを「第1号被保険者」、会社員や公務員などを「第2号被保険者」、第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦)を「第3号被保険者」と呼びます。
2015年10月の被用者年金制度一元化(共済年金を厚生年金に統合)により、厚生年金についてはさらに以下の4区分に分けられました。自分や家族に関連する名称だけでも知っておくといいでしょう。

  • 第1号厚生年金被保険者 会社員
  • 第2号厚生年金被保険者 公務員
  • 第3号厚生年金被保険者 地方公務員
  • 第4号厚生年金被保険者 私学教職員

もっと知りたい!年金保険料Q&A

最後に、国民年金の保険料に関するよくある質問に、Q&A形式でお答えします。

  • 収入が減って保険料を払えなくなったらどうすればいい?
    第1号被保険者 (自営業者や学生など) で、収入の減少や失業などにより保険料の支払いが困難になった場合、「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」が用意されています。未納のままにせず、手続きを行うことをおすすめします。
  • 学生の場合も必ず保険料を払わなくてはいけないの?
    申請により、在学中の納付の猶予が可能になる「学生納付特例制度」が用意されています。
  • 昔払わなかったけど、今からでも払える?
    5年以内であれば、保険料の後納制度を利用できます。納付期限から2年経過して時効により納めることができなかった保険料がある場合は、過去5年分に限り2015年10月から2018年9月までの3年間に納めることができます。

国民年金は、原則25年(300月)の加入期間がないと受け取ることができないので注意しましょう。払えない場合にも可能な限り救済措置を利用し、未納期間をつくらないことが大切です。年金の仕組みはわかりにくいですが、老後の生活のベースになる大事なもの。正しく理解して、将来のシルバーライフに備えましょう。

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ライター紹介

一色徹太
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
金融商品や保険を販売しない中立的な独立系のファイナンシャル・プランナーとして、個人のマネー・ライフプラン相談、講演・セミナー、執筆等に従事。東証(東京証券取引所)でJPXアカデミー講座の講師も務めている。
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