金額はどうやって決まる?退職金にまつわる疑問を解決しよう

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会社を辞める際にもらう退職金。転職や定年のタイミングで受け取るケースが多いです。しかし、「退職金の金額はどのようにして決まるのか?」「転職すると生涯で受け取る退職金は減ってしまうのか?」など、疑問がつきません。退職金の仕組みを解説し、よくある質問にもお答えします。

退職金とは?

退職金は、法律で定められた制度ではないので、すべての会社員が必ずもらえるとは限りません。厚生労働省の調査(平成25年)によると、何らかの退職金制度がある企業の割合は75.5%となっています。つまり、10社中2~3社の企業には退職金制度がないことになりますね。 退職金の性格(意義)としては、

  • 賃金の後払い
  • 退職後の生活保障
  • 功労・報償

などが考えられますが、これも特段の決まりはないため、実際は会社ごとに独自の退職金制度が運営されています。

退職金制度はおもに、

  • 一時金として受け取る「退職一時金制度」
  • 年金の形で受け取る「退職年金制度」

に分けられますが、一般的には「退職一時金制度」を指すことが多いです。また、退職時の支給に代えて毎月の給与や賞与に退職金を分割して上乗せする「退職金前払い制度」を導入している会社もあります。

退職金はどうやって決まるの?

退職金についての詳細は、通常、社内の「退職金規程(規定)」に定められています。退職金規程には、退職金の計算方法や支給の条件、勤続年数の定義、退職理由による退職金額の違いなどが明記されているのです。退職理由が自己都合の場合の退職金は、定年退職の場合よりも一般的に少なくなります。

退職金の計算方法は会社ごとに異なりますが、主な方式は以下の通りです。

  1. 「退職時の基本給(算定基礎額)×勤続年数ごとの係数×退職事由別の支給率」とする方式
  2. 「勤続年数ごとの定額方式」(勤続年数別に退職金額を定める)
  3. 「ポイント制方式」(役職や職務等級、給与などに対してポイントを定め、ポイント累計に1ポイント当たりの退職金額を掛けて退職金を算出する方式)
  4. 「別テーブル方式」(賃金とは連動しない別体系の退職金計算表を作り、それにより退職金を算出する方式)

例えば「1.」の方式の場合、

  • 退職時の基本給 30万円
  • 勤続年数ごとの係数 6.0(勤続年数7年の場合)
  • 退職事由別支給率 0.8(自己都合退職の場合)

とすると、退職金は、30万円×6.0×0.8 = 144万円となりますね。 なお近年、賃金体系が「年功序列型」から「成果型・実績連動型」に移行する傾向が強まっており、特に「3.」のポイント制方式を採用する会社が増えています。

退職金にまつわるQ&A

退職金に関するよくある疑問に、Q&A形式でお答えしていきましょう。

【Q1】転職するともらえる退職金の総額は減る?
最近は雇用の流動化が進んでいるとはいえ、日本は長らく終身雇用制度を前提としてきました。そのため、退職金規程の多くはまだ、長期勤続すればするほど退職金が増える仕組みになっています。もちろん企業によって異なりますが、転職をした場合は、同じ会社で定年まで働き続けたときと比べて、生涯で受け取る退職金の総額は一般的に少なくなる可能性が高いといえるでしょう。
【Q2】退職金は早く辞めるともらえないの?
勤続年数が短いうちの退職、特に勤続3年未満で退職する場合は、退職金が出ないことが多いです。
【Q3】会社の業績が悪くなると退職金が出ないこともある?
ゼロになることは考えにくいですが、退職金計算の基礎となる基本給が業績悪化で引き下げられ、その結果退職金が少なくなってしまう可能性はあります。

退職金は何に使うべき?

退職金は、いろいろなことに使いたくなるもの。自分へのご褒美で旅行に行く、自宅の建て替えやリフォームに使う、あるいは、まとまったお金で資産運用する人もいるでしょう。使い方はもちろん自由ですが、退職前から過度に退職金をあてにするのはオススメしません。
例えば、退職金で住宅ローンを一括返済する前提で家を買うようなことは避けたほうがいいでしょう。年金は十分あるのか、定年後の生活は大丈夫なのか、など老後のライフプランをしっかり検討してから使い道を決めてください。


退職金は金額が大きく、税制面での優遇措置もあるため、ライフプランを考えるうえでの重要な要素になります。勤務先の退職金規程を確認する、先輩に聞くなどして、自分の退職金を一度計算してみるとよいでしょう。

参考:
  • 厚生労働省|平成25年就労条件総合調査結果の概況
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

一色徹太
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
金融商品や保険を販売しない中立的な独立系のファイナンシャル・プランナーとして、個人のマネー・ライフプラン相談、講演・セミナー、執筆等に従事。東証(東京証券取引所)でJPXアカデミー講座の講師も務めている。
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