進む正社員化!「限定正社員」ってどんな人たち?

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増加傾向にあるといわれる非正規雇用労働者。この問題を解決するために、「正社員化」が推し進められています。正社員化の解説とともに、「限定正社員」という働き方についてご紹介しましょう。

「正社員化」って何?

厚生労働省によれば、平成27年の非正規雇用労働者の割合は37.5%。4割に迫る数字が出ています。では、非正規雇用労働者が増えることで、どのような問題があるのでしょうか?

非正規雇用労働者を取り巻く問題
非正規雇用労働者は、正社員と比べて多くのデメリットがあります。まず挙げられるのが、賃金の格差。厚生労働省の調査(平成27年)によると、正社員・正職員の平均月額賃金が32万1,100円であるのに対し、それ以外の場合は20万5,100円。かなりの開きがありますね。ほかにも、雇用が不安定である、教育訓練を受ける機会が少ないといった課題もあります。
正社員を増やす動き
このような格差を是正し、より多くの非正規雇用労働者が正社員として働けることを目指して、「正社員化」が進められているのです。具体的には、非正規雇用労働者を正社員に切り替えたり、安定的な職業につけない若者を正社員として採用する企業への助成金の支給などがあります。また、職業訓練を増やすなど、非正規雇用労働者をサポートするさまざまな取り組みも行われています。

限定正社員は、正社員とどう違う?

政府は非正規雇用対策の一環として、「限定正社員」や「多様な正社員」などと呼ばれる新しい雇用形態の普及を推進しています。では、限定正社員とは何なのでしょうか。正社員、非正規雇用労働者、限定正社員はそれぞれどのような雇用形態なのか、見ていきましょう。

正社員
雇用期間が決まっていないので、長期にわたって働くことができます。安定的である一方で、勤務場所、仕事内容、労働時間などを自由に選ぶことはできず、会社の指示に従うケースも多いでしょう。
非正規雇用労働者
正社員と大きく異なるのは、雇用期間が決まっている点です。勤務場所、仕事内容、労働時間のどれか(または複数)が限定された雇用形態となります。
限定正社員
正社員と同じく、雇用期間の定めがありません。勤務場所、仕事内容、労働時間のどれか(または複数)があらかじめ決められた雇用形態です。勤務場所が限定された「勤務地限定正社員」、仕事内容が限定された「職務限定正社員」、労働時間が限定された「勤務時間限定正社員」といった呼び方があります。

限定正社員のメリット

では、限定正社員のメリットを具体的にみていきましょう。

賃金水準が比較的高い

非正規雇用労働者よりも賃金の水準が高いことがメリットのひとつです。正社員よりは低くなりますが、社会保険にも加入するので、非正規雇用よりも安定しています。

  • ただし、非正規雇用労働者であっても、一定の条件を満たすと社会保険への加入が義務付けられています。
多様な働き方に対応できる
多様な働き方も可能です。「勤務地限定正社員」や「勤務時間限定正社員」であれば、介護や育児といった事情を抱えていても、転勤や長時間労働を心配せずに働けます。「職務限定正社員」は、専門的な知識、スキル、経験、資格を活かした仕事ができるでしょう。
企業は、優秀な人材を確保できる
「正社員化」のメリットは、企業側にもあります。人手不足と少子高齢化が進むなか、企業は就労をあきらめようとしていた優秀な人材を確保することが可能です。また、正社員を増やす努力をすれば、企業のイメージ向上にもつながりやすいでしょう。

状況はよくなる?数々の課題も…

メリットが多い「限定正社員」ですが、企業がこの制度をただ形式的に導入するだけでは、状況は改善されないでしょう。業務内容や賃金によっては、正社員との不公平感が募る可能性があります。
例えば、賃金に差をつけすぎれば限定正社員から不満の声が上がるかもしれません。逆に賃金がほとんど同じであれば、正社員が疑問を抱くでしょう。両者が納得し、モチベーションを維持して働き続けるためには、バランスを上手くとることが重要です。
厚生労働省が配布している資料「勤務地などを限定した『多様な正社員』の円滑な導入・運用に向けて」には、このような課題へのガイドラインが記載されています。一部をご紹介しましょう。

  • 勤務地限定正社員の職務内容が正社員と変わらず、その職場に転勤しない正社員がいる場合は、両者の賃金水準の差を小さくする
  • 職務限定正社員の賃金は、職務の難易度に沿った水準とすることが望ましい
  • 勤務場所や労働時間の限定があっても、それが職務の範囲や能力へ与える影響が少ない場合は、昇進のスピードなどにおける正社員との差をできるだけ小さくすることが望ましい

ワーク・ライフ・バランスの大切さが見直されている今の時代。正社員化に関する課題はまだまだ多いですが、仕事と私生活をうまく両立させて、よりよい環境で充実した暮らしができる人が増えることを期待したいものです。

参考:
  • 厚生労働省|非正規雇用の現状と課題 厚生労働省平成27年賃金構造基本統計調査 雇用形態別
  • 厚生労働省|非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善に向けた取組に関する要請書
  • 厚生労働省|勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて
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