現実味はある?男性の育休取得のメリットと課題

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平成26年4月から育児休業給付金の支給率が引き上げられました。男女ともに育休を取得すると有利になる制度もあり、政府は男性の育休取得を推進しています。しかし実際には、育休を取得している男性は少ないように思えます。男性の育休にまつわるメリットや課題をみていきましょう。

育児休業のメリット

育休の正式名称は、「育児休業給付」。雇用保険に加入している人が、1歳(条件により1歳6ヶ月)未満の子の養育のために休業した場合、給付を受けられる制度です。混同されがちですが、産休とは異なります。産休は産前産後の母体と子どもの健康を守るための制度ですので、母親だけが利用できるのです。しかし育休は子の養育が目的のため、父親も取得が可能です。
重くなりがちな母親の育児負担を軽減したり、母親の職場復帰をサポートしたり…公的な給付を受けながら育児に参加できるのは大きな魅力ではないでしょうか?また、育休には給付金や制度面のメリットなども存在します。

  • 育児休業給付金の受給額は最大で賃金月額の67%
  • 育休中の社会保険料は支払い免除
  • 雇用保険も原則負担なし
  • 育休の給付金は非課税
育休期間を1年2カ月に延ばせる!「パパ・ママ育休プラス」
「パパ・ママ育休プラス」についてもチェックしておきましょう。この特例では、夫婦が同時もしくは交代で育休を取得する場合、子どもが1歳2か月になるまで育休期間を延長できるのです。母親の職場復帰が1年後ならば、復帰直後の2カ月を父親が育休という形で支えることもできます。

男性の育休取得は少ないという現実

しかし、育休を取得する男性は多くありません。厚生労働省の「雇用均等基本調査」(平成26年)によると、正社員として在職中(平成24年10月1日から平成25年9月30日までの期間)に出産した女性の育休取得者は86.6%なのに比べ、男性の取得者は2.30%にとどまっています。
取得者が少ない理由として「前例がない」「取得後、職場復帰できるのか不安」などの声があります。実際、男性取得者の8割以上が、1カ月未満の短期間にとどまっており、長期の育休取得は難しいことがわかります。
そもそも、独自の休暇制度がある会社は、全体平均で18.3%しかありません。法律で決められた権利とはいえ、実際に出産するわけではない男性は、社内規定がなければ育休を取得しにくい気持ちがあるのでしょう。

少ないながらも男性の育休取得は浸透してきている?
男女比では低く感じる男性の取得率も、推移で見ると決して悪くはありません。平成8年度には男性の育休取得率はわずか0.12%でした。その後、平成19年に初めて1%を超え、平成26年度調査では2.30%になったのです。少子化を食い止めたい政府は、夫婦で子育てしやすい環境づくりを目指しており、男性の育休取得を支援しています。流れから見て、今後も取得者は増えると予想されます。
取得方法も工夫できる
さらに、「夫婦で取得しやすく」なるための改善もされています。まず、育休の取得回数について。特別な事情がない限り取得回数は子ども1人につき1回ですが、男性の場合は少し異なります。
妻の産後すぐ(8週間以内)に1回取得すれば、その後、育休期間内であればもう1回取得できます。長期間の取得が難しい場合も、取得回数を2回に分けることで、職場の理解を得やすくなるのではないでしょうか。また、2回取得できるという特例は「パパ・ママ育休プラス」との併用が可能です。

育休取得率アップへの取り組み

会社独自の取り組みも進んでいます。例えばリクルートホールディングスでは、2016年4月より、「男性社員は必ず育休を取得すること」を決定しました。また、リコー(リコーリース株式会社)では男女ともに育児休暇の一部を有給化するほか、男性社員向けに「育メン・チャレンジ休暇制度」という育児参加を目的とした制度を導入しています。
また、男性の育休取得率を33%にまで上昇させたホシザキ東北では、取得率上昇後、社員の満足度とともに業績も伸びたそうです。社員の働きやすさは業績と密接な関係にあるといえるのではないでしょうか。


男性が女性と同じように育休を取得する時代は、すぐ到来しそうにはありません。しかし、確実に制度は整ってきているのです。あとは私たち一人ひとりの認識や理解、そして、子どもを一緒に育てるという夫婦の絆にかかっているのではないでしょうか。

参考:
  • 厚生労働省|平成26年度雇用均等基本調査
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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