「育児・介護休業法」改正で変わる!働く人の介護のこれから

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総務省の統計で介護離職者が年間10万人以上にものぼる今、介護離職者を減らすべく、育児・介護休業法の改正が行われています。また、平成28年8月1日以降から、介護休業の給付額引き上げも開始しており、取得要件の緩和や最大3回までの分割取得などより使いやすくなる予定です。育児・介護休業法の変更点や活用方法を解説します。

介護休業制度とは

介護休業制度とは、家族を介護するために会社を休んだ場合、賃金日額に応じて給付金が受けられる制度です。ただし、休業の日数や被介護者の範囲などが細かく規定されており、実際には、離職や転職を選ぶ人が多くなっています。そこで、介護離職やキャリアをあきらめての転職などを防ぐために育児・介護休業法が改正されます。平成29年1月1日より、複数の項目で使い勝手が向上します。どのような点が変わるのでしょうか。

取得方法がより柔軟に
改正前との比較で見てみましょう。
介護休業の分割取得
現行では原則1回しか取得できませんが、3回に分けて取得できるようになります。「対象家族1人に通算93日まで」という上限は変わりませんが、介護開始時、中盤、終盤に分けて取得するなどの選択肢が増えます。
介護休暇の取得単位が柔軟に
年5日の介護休暇は1日単位から半日単位で取得できるようになります。ケアマネージャーとの面談、通院送迎など半日程度ですむ日常的な用事に対応できるようになります。
対象家族の範囲が拡大
祖父母や兄弟姉妹および孫の介護に関しては「同居かつ扶養」という要件がありましたが、これらが撤廃されます。また要介護者の要件は現状で要介護2~3程度ですが、条件によって要介護1以下から可能になります。

総合的に見て、家族の誰もが介護休業を取得できるようにした改正内容です。実は、介護離職(転職含む、以下同じ)する人の約8割が女性で、介護離職する女性のうち最も割合が高い年代は50代となっています。年齢的に、親の介護のために離職する女性が多いと推測できます。介護者がひとりしかいない場合、離職はやむを得ないかもしれません。
しかし今回の改正により、夫に半日だけ介護を頼んだり、兄弟姉妹に助力を求めたりするなど、家族全員で介護を分担する体制がつくりやすくなるのではないでしょうか。

休業給付金の受給額アップ

介護休業が取得しやすくなっても、収入が減っては困ります。他の改正に先行して平成28年8月1日より、介護休業給付の支給率が40%から67%へと引き上げられました。計算式は「賃金日額×支給日数×67%」です。

雇用保険の加入要件も改正あり
介護休業は雇用保険に加入している人が対象ですが、雇用保険にも改正があります。これまで加入できなかった65歳以上の労働者も雇用保険に加入できるようになり、条件を満たせば介護休業給付を受給できるのです。老々介護も増加する昨今の需要に応える改正といえるでしょう。

介護サービスも利用しよう

介護休業が取得しやすくなり、給付額が増えたとしても、やはり家族だけでの介護は大変です。在宅介護の負担を軽くするためにデイサービスの活用や、介護施設の利用も検討しましょう。
デイサービスは「通い」「訪問」「泊まり」など複数の選択肢が利用できます。介護施設にも多くの種類があり、主なものは下記の通りです。

  • サービス付き高齢者向け住宅
    基本的には自立して生活できる高齢者向けの住宅で、緊急時対応や安否確認など一定のサービスが受けられます。
  • グループホーム
    軽度の認知症患者が支援を受けつつ、助け合って共同生活を行います。
  • 民間の老人ホーム
    運営会社によってタイプは幅広く、料金は比較的高めです。
  • 特別養護老人ホーム
    比較的安価で24時間サービスが受けられ、要介護度の高い人がほとんどです。

その他の施設もありますが、基本的に要介護度が高くなるほど選択肢は少なくなります。軽度用の施設に入居しても、症状が重くなると退所を余儀なくされるケースもあります。入居を検討する際には、「これ以上悪化させない環境」という視点を大切にしましょう。


今回の改正により、介護休業は使い勝手が良くなり、早期での利用も可能になりました。介護が必要な状態かどうかを初期段階で判断し介護休業を取得できれば、進行を遅らせることも可能かもしれません。たとえ進行を食い止めることはできなくとも、早い段階で手を打てばその後の長い介護生活が変わってくるはずです。しっかり活用して仕事と介護の両立を目指したいですね。

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ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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