ゆとりある老後を送るために、必要なお金はどれくらい?

マネープラン

一説によると、老後の暮らしには3,000万円程度の貯蓄が必要といわれています。実際に老後の生活のために必要な貯蓄額とはいくらなのか、考えてみましょう。

高齢世帯の家計収支を見てみよう

総務省の「平成26年 家計調査報告」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)において、毎月の実収入は約20万円程度なのに対して、家計収入に対する不足分は約6万円という結果が出ています。
次に、平均余命を考えてみましょう。平均余命とは、ある年齢の人があと何年生きることができるのかという期待値です。厚生労働省の「平成25年 簡易生命表」によると、65歳男性の平均余命は19.08歳、女性は23.97歳となっています。男女の平均余命の中間の数値を取ると、退職後も約22年は生きているという計算になります。
現在の家計収支における不足額の月額約6万円を、22年間分として単純計算すると、約1,600万円となります。高齢世帯の家計収支の不足分を補うためには、これくらいの蓄えや収入源を確保しておく必要があるということになります。

ゆとりある老後生活には、実際いくら必要なのか?

さらに、生命保険文化センターの「平成25年度 生活保障に関する調査」を見てみましょう。この調査によると、夫婦2人で老後生活を送るために必要と考えられる最低日常生活費は月額22.0万円となっています。一方、“ゆとりある老後生活”のためには、月額35.4万円が必要だと考えられており、その差額は13.4万円とかなり大きな開きがあることがわかります。
この差額を何に使いたいのかという質問では、「旅行やレジャー(60%)」「趣味や教養(50%)」「日常生活の充実(50%)」「身内とのつきあい(47%)」「耐久消費財の買い替え(24%)」という回答になりました。やはり、“ゆとりある生活”には旅行や趣味などの生きがいが大切だということがわかりますね。
では、先ほどの数値をもとに、老後生活の必要額を試算してみましょう。“ゆとりある老後生活”のために必要と考えられる月額約35万円から、社会保障給付などによる実収入約20万円を引くと、その差額は1年間で180万円、22年間では3,960万円となります。老後に必要なお金といわれている3,000万円を大きく上回る数字になりました。
もちろん、老後生活の送り方は人それぞれですし、“ゆとりある生活”の考え方も個人差があるので、「老後生活にはいくら必要!」とひとことで言えるわけではありません。ただ、様々な調査から高齢世帯の実情を見てみると、「公的年金だけでは不十分」「仕事が確保できない」「貯蓄などが足りない」といった老後生活への不安感が多く聞かれます。やはり若いうちから少しでも備えをしておくことが重要ですね。

そして今後は次の2つの要因により家計の不足分は今以上に多くなると思われます。

要因1. 平均余命は年々延びている
厚生労働省から毎年公表される「主な年齢の平均余命」によると、65歳男性の平均余命が平成23年では18.69歳であったのに対し、平成25年は19.08歳と、2年間で0.39歳も延びており、高齢化が進んでいることがわかります。
要因2. 社会保障費は年々減少している
急速な少子高齢化により、現在の社会保障制度を維持するのは困難であるといわれています。2060年には10人に4人が65歳以上の高齢者になるのに対し、出生数は今の半分以下になると予想されています。つまり、年金の減少や医療費負担の増加により、老後のための備えはいっそう必要になってくるのです。

老後のためにどんな貯蓄をしていくべき?

老後に向けて、若いうちから何をすべきなのでしょうか。

自分のライフプランをつくる
まずは自分のライフプランを整理してみましょう。老後に必要なお金について漠然と考えていても何をしたらいいのかわかりません。「将来こうなりたい」「ここに住みたい」「こんな生活が送りたい」と具体的に考えることで、目標に向けた生活ができるようになります。そのために普段から少しでもお金や貯蓄について考えるくせをつけましょう。
自助努力をする
既に述べたように、これからの世の中は公的な年金だけに頼ることが難しくなります。老後の収入としては「公的年金や個人年金」といった継続的な収入、「退職金、生命保険などの満期保険金」といった一時的な収入、その他に不動産や相続による収入があります。それ以外でも、余裕資金で行う投資などの資産運用で、若いうちから老後に必要なお金を貯めていきましょう。

老後生活に必要なお金は、生活水準や価値観によってかなりバラつきがあります。とはいえ、ゆとりある老後のために一定の蓄えが必要なのは事実。若いころからお金のセンスを身につけながら、コツコツ貯めていく自助努力がよりいっそう重要になりますね。

参考:
  • 総務省|家計調査報告
  • 厚生労働省|簡易生命表
  • 生命保険文化センター|生活保障に関する調査
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

小澤美奈子
ファイナンシャルプランナーおよび健康・美容ライターとして執筆・講座・相談等で活動中。
損害保険会社と住宅メーカーに従事し、主に家計管理、損害保険、住宅ローンを得意とする。趣味はカメラ・バレエ・料理。
ホームページ:http://kandbplanning.jimdo.com/