税金が変わってくる?しっかり理解しておきたい保険契約の話

マネープラン

保険を契約するときに、「契約者はとりあえず夫でいいか」と深く考えずに決めてしまう人がいるかもしれません。しかし、万が一のときや何かトラブルが起きたときに、保険料の負担者が誰なのかはかなり重要になります。しっかり理解しておきましょう。

保険では「保険料を誰が負担するか」が重要

保険がわかりにくいと感じる理由のひとつに、登場人物が多いことが挙げられます。保険契約の登場人物は以下の3人です。

  1. 契約者……保険料を支払う人、つまり保険料を負担する人
  2. 被保険者……死亡保険金であれば、「この人が亡くなったら保険金が支払われる」という本人
  3. 保険金受取人……保険金の支払いが発生した場合に保険金を受け取る人

具体例を挙げて考えてみましょう。
山田さん一家は、お父さんの山田太郎、お母さんの花子、子どもの一郎、の3人家族です。今回お父さんが死亡した場合に備えて死亡保険の契約をしました。その内容は、「お父さんの山田太郎さんは毎月2万円の保険料を10年間支払い、太郎さんが死亡した時にはお母さんの花子さんが死亡保険金2,000万円を受け取る」というものです。この場合、以下のようになります。

  • 契約者……お父さんの山田太郎
  • 被保険者……お父さんの山田太郎
  • 保険金受取人……お母さんの山田花子

さて、保険を契約する時に契約者をお父さんの山田太郎さんにしたけれど、実際に保険料を負担していたのはお母さんの花子さんだった、というケースもありますよね。同じ家庭内で保険料を誰が負担しようと関係なさそうに思えますが、実はここが重要なポイントです。保険料を実際に誰が負担するかによって、かかる税金の種類が異なってくるのです。

生命保険の入り方によって税金が変わる

まず、契約者、被保険者、保険金受取人の組み合わせによって、誰にどのような税金がかかってくるのかを考えてみたいと思います。上記の山田さん一家を例に挙げてみましょう。

  1. 契約者:山田太郎 被保険者:山田太郎 保険金受取人:山田花子または山田一郎(法定相続人)
  2. 契約者:山田太郎 被保険者:山田太郎 保険金受取人:佐藤明(法定相続人以外の人)
  3. 契約者:山田花子 被保険者:山田太郎 保険金受取人:山田花子
  4. 契約者:山田花子 被保険者:山田太郎 保険金受取人:山田一郎

共通するのはお父さんが死亡した場合の死亡保険であるということ。保険料を誰が支払い(契約者)、保険金を誰が受け取るのか(保険金受取人)が異なるだけです。しかし、この3者の組み合わせによって誰にどのような税金がかかるかが異なるのです。

  • 1.の場合:保険金受取人の山田花子または山田一郎(法定相続人)に相続税(死亡保険金の非課税枠あり)
  • 2.の場合:保険金受取人の佐藤明(法定相続人以外の人)に相続税(死亡保険金の非課税枠なし)
  • 3.の場合:契約者=保険金受取人:山田花子に所得税および住民税
  • 4.の場合:保険金受取人の山田一郎に贈与税

ちなみに、1.と2.に出てくる「死亡保険金の非課税枠」とは、「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税の限度額になるというものです。山田さん一家の場合、山田太郎さんが亡くなった場合の法定相続人は花子さん、一郎さんの2人なので、500万円×2=1,000万円が非課税の限度額となります。これに対して、山田太郎さんが亡くなった後に佐藤明さんが保険金を受け取っても、非課税枠はありません。
このように、契約者、被保険者、保険金受取人の組み合わせによってかかる税金の種類が異なりますが、どれが一番お得であるかは一概に言えません。また、相続税に該当するのか贈与税に該当するのかは保険契約の形式的な名義ではなく、本当に贈与の事実があったかどうかの実態で判断されます。そのため、保険契約をする際には、保険会社の担当者、各種専門家などへきちんと相談することをおすすめします。

離婚したら保険はどうなる?

保険の契約をした後、仮に離婚したらどうなるのでしょうか?

死亡保険の場合
上記の山田太郎さんと花子さんが離婚した際、保険契約を継続させるかどうかが検討すべき事項になります。離婚とともに生命保険を解約する選択をした場合は、解約返戻金が支払われるケースも。この解約返戻金は、夫婦であった期間に共同で築いた財産とみなされ、財産分与の対象になります。仮に太郎さんが被保険者の生命保険の解約返戻金が100万円ならば、太郎さん50万円、花子さん50万円と分けることが多いようです。
学資保険の場合
また、山田太郎さんが契約者、息子の一郎さんが被保険者となった学資保険に入っているケースも考えられます。このケースでも解約する場合の払戻金は夫婦共同で築いた財産とみなされ、財産分与の対象となります。なお、もし保険を継続するならば、保険契約者の見直しを検討する必要があるでしょう。離婚によって花子さんが一郎さんの親権者になるとしても、保険契約者の名前は自分たちで手続きをしない限りは変更されないからです。

保険の仕組みは複雑ですが、保険料を誰が負担するかによって、かかる税金の種類が異なってくることがおわかりいただけたでしょうか。もしもの時に困らないよう、保険に関する最低限の知識は契約の前に知っておきたいですね。

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ライター紹介

丹所美紀
アステル行政書士事務所代表 行政書士・知的資産経営認定士
「皆様の明日を照らす」を理念とし、建設業許可申請をはじめとする各種許認可申請、知的資産経営支援、事業計画書や補助金申請書等の作成代行、遺言相続業務、会社設立支援、外国人関連業務等に従事。
ホームページ:名古屋遺言書作成支援センター