退職したら?リストラされたら?もしもに備える失業保険のキホン

マネープラン

会社を退職したけれど転職先が決まっていない場合や、突然リストラされたときなどに助けてくれる雇用保険(失業保険)。頼もしい存在ですが、待っていれば受給できるというものではありません。いざというときに備えて、基本的な仕組みを理解しておきましょう。

条件によって異なる失業保険の給付内容

会社を退職して失業状態になると、基本手当(失業給付)を受給できます。受給額は「賃金日額×給付日数」で、賃金日額の目安は退職前6か月間に支払われた賃金の平均(賞与を含まない)の50~80%。賃金水準が低い人ほど、高い割合で支給される仕組みです。
給付日数は90日から360日まで幅があり、加入期間、退職理由、受給者の年齢などによって変わります。具体例で見ていきましょう。

  • なお、本記事では「会社」と記載していますが、個人事務所や個人医院の従業員も「雇用者」であれば雇用保険に加入しています。
自己都合による退職の場合

自己都合退職や定年による退職の場合、年齢は関係なく「被保険者期間」によって下記のように給付日数が決まります。被保険者期間というのは、会社在籍時に雇用保険料を支払っていた期間のことです。

  • 被保険者期間10年未満なら「90日」
  • 被保険者期間10年以上20年未満なら「120日」
  • 被保険者期間20年以上なら「150日」
倒産やリストラによって職を失った場合

倒産、リストラ、契約更新がなかったなど、会社側の事情により失業に陥った場合は、自己都合退職の人に比べて給付日数が長くなるケースが多いです。被保険者期間が長く、かつ年齢が高いほど給付日数が長くなるのが原則です。ただし、被保険者期間1年未満の人(全年齢)や、被保険者期間5年未満で45歳未満の人の給付日数は一律90日となります。以下に一部を抜粋してご紹介します。

  • 年齢30歳未満、被保険者期間5年以上10年未満なら「120日」
  • 年齢30歳以上35歳未満、被保険者期間5年以上10年未満なら「180日」
  • 年齢35歳以上45歳未満、被保険者期間10年以上20年未満なら「240日」

給付の方法は?流れを見てみよう

通常、基本手当を受給するまでには一定の日数を要します。申請方法や必要書類を知っておきましょう。

1.退職時に必要書類を受け取る

退職時に受け取る書類はいくつかあり、下記のようにそれぞれ受け取り方が異なります。

  • 雇用保険被保険者証
    自身が雇用保険に加入していることを証明するもので、退職時に会社から受け取ります。なお、年金手帳も受け取るはずです。
  • 雇用保険被保険者離職票
    離職後に郵送で届くことが多いです。受給金の振込先や退職した会社の所在地などを記載します。
  • 離職証明書
    会社側が作成してハローワークへ直接提出しますが、退職前に記名押印又は自筆による署名をすることになっています。記載内容、特に退職理由に相違がないか確認しておきましょう。
2.必要書類を持ってハローワークへ

退職後、以下の書類や持ち物がそろったら、まず住所を管轄するハローワークで受給資格を得るための手続きをします。この日が「受給資格決定日」になります。

  • 雇用保険被保険者離職票
  • 本人確認書類および写真
  • 印鑑、通帳(基本手当は振込のため)

このとき離職証明書に記載された退職理由と、本人の主張に食い違いがないかも確認します。
なお、受給資格決定日から7日間は「待期期間」といって、退職理由に関係なく誰でも支給を待たなければなりません。自己都合退職の場合は、待期期間満了後も最大3か月間、給付が制限されます。つまり、受給資格決定日から受給開始まで数か月間は無収入となるので注意しましょう。

3.説明会に出席
次に、受給資格決定日に指示された日の「雇用保険受給者初回説明会」に出席します。ここで重要事項や失業認定日について説明を受け、雇用保険受給資格者証や、失業認定申告書を受けとります。
4.失業の認定
待期期間、および給付制限期間終了後、「失業の認定」が行われます。認定されれば、5営業日程度で給付日数に応じた基本手当が振り込まれるという流れです。
なお、「失業」というのは、単に職を失っただけではなく、“働く意志があるのに働けない”状態のこと。そのため、失業認定日までの期間には「求職活動の実績」が必要です。自己都合退職の場合は、初回認定日までに3回以上の求職活動をしていなくてはいけません。それ以降は原則として4週間に1回のペースで失業の認定が行われますが、毎回2回以上の求職活動の実績が必要です。

以上が受給までの流れです。退職後はハローワークに複数回足を運ぶことになりますが、面倒だからと後回しにせず、早め早めに行動しましょう。基本手当の受給期間は妊娠、出産、病気など特定の事由がない限り「退職後1年間」と決まっているからです。うっかり期間が過ぎないようご注意を。

本当に自己都合?迷った時は相談を

基本手当は、自己都合退職の場合、支給制限期間が長く給付日数も短くなりがちです。しかし、パワハラやセクハラ、長時間労働に耐えきれず退職した場合は自己都合になるのでしょうか?
辞めざるをえない状況に追い込まれたのであれば、リストラに近いケースもあります。離職証明書に記載されている内容と事実が異なる場合、会社への聴取を行うなどして争うことも。判断を下すのはハローワークの所長または地方運輸局長ですが、「自己都合退職」と記載された離職証明書に署名していれば主張を通すのは難しいかもしれません。悩んだ際は総合労働相談コーナー(厚生労働省)や都道府県の相談窓口を利用しましょう。できるだけ在職中に相談しておくことをオススメします。


雇用保険に加入している以上、失業中の基本手当はしっかり受給しておきたいところ。しかし、受給までにはいくつかのステップが必要になります。いざという時すみやかに行動できるよう、仕組みを知っておきましょう。

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ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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