1人当たり800万円以上!国の借金は私たちにどう影響するの?

マネープラン

アメリカの大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が、2014年9月に日本国債の格付けを「AA(ダブルA)マイナス」から「A(シングルA)プラス」に1段階引き下げたことがニュースになりました。現在、国民1人当たりの借金は800万円を超えるともいわれており、日本の財政は危機的状況であることがわかります。では、国の借金は私たちの生活にどのように関わってくるのでしょうか?

2015年12月末時点で日本の借金は約1,045兆円

国の借金は、「国債」「借入金」「政府短期証券」の大きく3つに分けられます。2015年12月末時点でそれぞれの金額を見ると、国債が約902.2兆円、借入金が約55.1兆円、政府短期証券が約87.3兆円で、合計額は約1,045兆円です。この3つのなかでは、全体の約86%を占める「国債」がもっとも重要なので、詳しく見てみましょう。

国債とは?
国債とは、国が発行する債券のこと。「国の借用証書」と言い換えることもできます。国債を発行したら、国(政府)は一度に大量の資金を集めることができますが、購入者に対してあらかじめ決められた利率に基づく利子を支払う必要があります。
また、国債は借金ですので、必ず返さなければいけません。満期日(償還日)が来たら元本(借りた額)が全額返済されます。国債には、満期までの期間(償還期間)が1年未満の短期国債から40年の超長期国債まであり、個人が購入できる「個人向け国債」もあります。10年満期の国債(長期国債)の現在の利率は0.3%~0.4%と大変低い水準。つまり、国は今とても低い金利でお金を借りられるのです。
増え続ける国債残高
国債の残高は年々増加しています。借入金や政府短期証券は必ずしも増えていないので、国債の残高増加が国の借金全体の増加に直結するということ。毎年、償還を迎える国債はたくさんありますが、それ以上に新規発行される国債が多いため、差し引きでは残高が増え続けます。2008年のリーマン・ショック以降の景気低迷による税収減や、医療・年金・介護などの給付に充てられる社会保障費の増加に伴い、国債を大量に発行せざるを得ない状況が続いています。
国民1人当たりでは約823万円の借金
国の借金約1,045兆円を日本の人口1億2,682万人(総務省の2016年1月1日時点の人口統計による)で単純に割ると、国民1人当たり約823万円の借金を抱えていることになります。また、この借金額はGDP(国内総生産:国内の経済活動が生み出すモノやサービスなどの付加価値の合計額)の2倍以上で、欧米の先進国よりはるかに高いのです。この数字が直接的に日本の経済状態の悪化を示すわけではありませんが、借金は多いより少ないほうがよいでしょう。

日本の借金は私たちの資産と結びついている

「私823万円も借金してないよ」「国の借金と自分は関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかし、国の借金は、私たちの生活や資産と結びついています。たとえば、私たちが銀行で預金をするときや、保険会社で生命保険に加入するときのことを考えてみましょう。銀行や保険会社は、預け入れられた資金や支払われた保険料を運用して増やさなければなりません。国債は、その有力な運用手段になっています。つまり、私たちは銀行や保険会社を通して間接的に国債を購入していることになるのです。
格付け会社が国債の格付けを引き下げると、国債は売られて価格が下落します。そうすると、銀行や保険会社の運用成績は悪化してしまいます。金融機関は国債を大量に保有しているので、場合によっては経営が悪化し、私たちの預金や生命保険に何らかの影響が出る可能性もあるでしょう。

「次世代にツケがまわる」ってどういうこと?

「国債発行は次世代にツケをまわすこと」だとよくいわれます。国債発行で当面の資金は確保できても、実際に返済する満期(償還)はまだかなり先だからです。また、借金(国債の発行残高)を将来的に減らすためには、痛みを伴うさまざまな政策を行う必要があります。たとえば、消費税増税や将来の年金額削減などが考えられ、その場合は私たちの生活もより厳しくなるでしょう。
しかし、国も手を打っていないわけではありません。税収の増加につながるような政策を立てるとともに、少子化・高齢化対策も打ち出しています。


日本は外国向けの債権(対外純資産)を非常に多く保有しているので、極端に心配する必要はないでしょう。ただ、私たち個人も国の借金と決して無関係ではありません。将来の生活を豊かにするためにも、国の借金の仕組みや国債については正しく理解しておきたいものです。

参考:
  • 財務省|国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成27年12月末現在)
  • 総務省|人口推計の結果の概要
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

一色徹太
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
金融商品や保険を販売しない中立的な独立系のファイナンシャル・プランナーとして、個人のマネー・ライフプラン相談、講演・セミナー、執筆等に従事。東証(東京証券取引所)でJPXアカデミー講座の講師も務めている。
ホームページ:一色FPオフィス