口座が凍結される?亡くなったら私たちの預金はどうなるの?

マネープラン

自分や親族が死亡したとき、故人名義の預金はどうなるのでしょうか。万が一のときに残された人たちが慌てないためにも、銀行関係の対応や手続き、事前に準備すべきことなどを知っておきましょう。

相続人なのに引き出せない!口座の凍結って?

「葬儀費用は自分の預金を使ってほしい」と日頃から子どもたちに言っている親御さんもいることでしょう。しかし、いざその時が来て故人名義の預金を引き出そうとしても、口座が凍結されているおそれがあります。なぜでしょうか?

遺産相続が確定するまでは「共有財産」
故人の預貯金は、死亡したその時から相続財産となり、遺産相続が確定するまでの間は相続人全員の共有財産になります。そのため、一部の相続人が勝手に引き出すことができないのです。たとえ相続人が1人だけであっても、それを証明する手続きが必要です。後でほかの相続人が現れた場合にトラブルに発展するのを避けるため、銀行は預金者の死亡を知ると口座を凍結するのです。
銀行は死亡の事実をどう把握している?
銀行が口座名義人の死亡を確認する際は、家族からの申し出や新聞の訃報欄などが情報源になります。銀行が病院や役所から連絡を受けるわけではありません。なお、死亡届を提出する前に預金を引き出しておけば大丈夫、ということではないのでご注意ください。

凍結解除の手続きは?

故人の口座を自由にするためには凍結解除の手続きが必要になります。流れを確認しておきましょう。

  1. 手続きの申し出
  2. 必要書類の準備・提出
  3. 払い戻し等の手続き

特に、「2」の必要書類を準備することが解除手続きの一番の障壁と言えるでしょう。用意する書類は、遺言書の有無などで異なります。

遺言書がない場合

遺言書がないときの必要書類は以下の通りです。

  • 故人と相続人の戸籍謄本等
    故人については出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。相続人を明らかにするためです。故人が高齢で親兄弟もすでに他界しているような場合は、出生地や結婚当初の住所などを生前に聞いておくといいでしょう。相続人に関しては、故人との関係などによって必要な戸籍謄本の期間が異なります。
  • 印鑑証明書
    発行日より6か月以内のもので、法定相続人全員分を用意します。
  • 預金通帳・証書等
    キャッシュカード、貸金庫の鍵、銀行所定の相続届などが必要です。
  • (ある場合は)遺産分割協議書
    誰がどのように遺産を相続するかの協議を行い、その内容をまとめたものが「遺産分割協議書」です。提出は絶対要件ではありません。しかし、相続人全員の印鑑証明書が要るため、実質的には協議や意見の一致がある程度なされていないと凍結解除は難しいと言えます。
    葬儀代や相続税を故人の財産から支払いたくても、凍結解除に時間がかかることもあり、一時的な出費が必要になるかもしれません。そのような状況を避けるためにも、できる限り遺言書を用意しておくことが望ましいです。
遺言書がある場合

遺言書があるときの必要書類は以下の通りです。

  • 受遺者(預金等を受け取る人)の署名・捺印(実印)
    遺言書の内容によっては、法定相続人全員の署名・捺印(実印)が必要です。
  • 遺言書
    公証役場で公証人に作成してもらった「公正証書遺言」でない場合は、家庭裁判所の検認(裁判所に遺言書が適正だと認めてもらうこと)を受けたという証明書が必要になります。
  • 故人と相続人の戸籍謄本等
    原則「遺言書がない場合」と同じです。
  • 印鑑証明書(発行日より6か月以内のもの)
    口座財産を受け取る人のもの。ただし、遺言書の内容によっては法定相続人全員分必要です。
  • 通帳・証書等
    「遺言書がない場合」と同じくキャッシュカード、貸金庫の鍵等が必要になります。
  • 実際の必要書類は銀行ごとに異なります。また、遺言書の種類や遺言執行人(遺言書の内容を実行する人)の有無でも手続きが異なりますのでご注意ください。
    遺言書がある場合の大きな違いとしては、基本的に口座財産を受け取る人のみの証明書で凍結解除が可能なことです。他の相続人の実印等が必要な場合も、故人の遺志を示すことで協力を得やすくなるという効果が期待できます。

口座凍結の解除は時間と手間がかかります。遺言書の用意が難しい場合は、手続きについて家族間で話す、生前から親類の情報を収集しておくといった方法も有効です。事前に口座が凍結されることによるリスクや解除のための手続きを知り、万が一のときに備えておきましょう。

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ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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