経済効果は?あの騒動はなぜ起きた?オリンピックのお金にまつわる話

マネープラン

リオデジャネイロ五輪の開催が8月5日に迫ってきました。リオの次はいよいよ、2020年に東京オリンピック・パラリンピック(以下、「東京五輪」といいます)が開催されます。オリンピックは、人々に大きな感動と興奮をもたらし、世界中が魅了される大会です。でも、開催国の国民として気になるのは、お金のこと。オリンピックによって損をするのか得をするのか?また、話題になったエンブレム問題や新国立競技場問題にも迫ります。

オリンピックがもたらす経済効果はどれくらい?

オリンピックのような大きなスポーツイベントが開催されるときは、その経済効果、つまり開催することでその国の経済に与える影響に注目が集まります。開催が決定すると、シンクタンク(研究機関)や経済学者などが数値を試算して発表することも多いので、目にした人もいるでしょう。
経済効果を測る際は、実質GDP(一定期間のうちに、国内の経済活動が新たに生み出したモノやサービスなど付加価値の総額で、物価変動の影響を除いたもの)という指標を使用することが多いです。「実質GDP成長率を毎年○%押し上げ」といった形で発表されます。

日本銀行による試算
2020年東京五輪の経済効果については、民間のシンクタンク以外にも、日本銀行が2015年12月に論文を発表しています。それによると、東京五輪の開催は主に、1)訪日観光需要の増加、2)関連する建設投資の増加、という2つの経路で日本経済に好影響を与えるとのことです。また東京五輪は、2015~2018年における日本の実質GDP成長率を毎年0.2~0.3%押し上げ、特に2018年には、実質GDPを約1%(約5~6兆円)押し上げると推計しています。
世界各国がオリンピックを誘致したがる理由
オリンピックは、観光需要や建設投資の増加以外にも、交通インフラの整備や国民の消費支出の拡大などが期待できます。新しい雇用の機会も生まれますし、都市が活性化したら人口が流入するかもしれません。さまざまな方面での波及効果があり、経済の大きな活性化が期待できます。世界各国がオリンピックを誘致したがるのもうなずけますね。

東京五輪にまつわるお金の問題

東京五輪については、公式エンブレムのデザインをめぐる盗作疑惑や新国立競技場の工事費用にかかる問題も大きな話題になりました。ニュースや新聞で連日取り上げられたので、覚えている人も多いでしょう。これらを、主にお金の観点から見てみます。

エンブレム問題
2016年4月25日に新エンブレムが発表され、エンブレム問題は紆余曲折の末、ようやく決着しましたが、旧エンブレムの白紙撤回に伴い1億円を超える損失が発生したといわれています。
またこの問題では、東京都にも損失が発生しています。オリンピックは経済効果も大きいですが、トラブルが起きたときの損失も大きいことがわかりますね。
新国立競技場問題
新国立競技場の総工費も問題になりました。当初予算は約1,300億円でしたが、開催決定後に、デザインどおりに建設すると約3,000億円かかることが明らかになったのです。見直したものの、それでも総工費約2,520億円という計画に批判が集まり、安倍首相が新国立競技場の建設計画について「白紙に戻す」と表明する異例の事態になりました。
結局、総工費の上限を約1,550億円に圧縮する新計画が決定し一件落着しましたが、長期にわたる迷走は記憶に新しいところです。

オリンピック後はどうなる?

2020年東京五輪後の日本経済はどうなるでしょうか?これは予測が難しいです。過去の開催都市の例をみても一概にはいえません。五輪の反動、つまり需要を先食いしていた反動が出て「五輪後、日本経済は長期に低迷するのでは」という見方もあります。しかし、日本は約50年前にも東京五輪を開催し、その後の不況を経験しています。過去の学習効果を生かすことが得意な日本人の特性を考えると、極端な心配は不要かもしれません。


4年に一度のオリンピック。純粋に競技を楽しむと同時に経済の観点からも眺めてみると、また別な側面が見えてきて楽しいかもしれませんね。

参考:
  • 日本銀行|2020年東京オリンピックの経済効果
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

一色徹太
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
金融商品や保険を販売しない中立的な独立系のファイナンシャル・プランナーとして、個人のマネー・ライフプラン相談、講演・セミナー、執筆等に従事。東証(東京証券取引所)でJPXアカデミー講座の講師も務めている。
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