サービス残業って泣き寝入りするしかないの?

マネープラン

会社員として働くとき、労働時間がどれくらいになるのか、残業代が出るのか否かはとても重要な問題です。「またサービス残業だよ…」という愚痴を聞くことは多いですが、賃金を払わずに労働させるのは違法ではないのでしょうか?サービス残業の是非や、個人でできる対策をご紹介します。

多くの人がサービス残業に苦しんでいる

「サービス残業」とは、労働基準法で定められている労働時間を超えて労働した時間について、残業代が支払われていない不払い残業のことをいいます。
残念ながら、毎年多くの人がサービス残業に苦しんでいるようです。厚生労働省が公表している「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)」からも、深刻な実態が浮き彫りとなっています。平成26年4月から平成27年3月までの間にサービス残業が是正された企業数は1,329社。対象労働者数は20万3,507人、支払われた割増賃金合計額は142億4,576万円でした。これらは支払額が1企業で合計100万円以上となった事案の状況ですので、実際にはもっと多くの人がサービス残業に苦しんでいるといえます。

サービス残業は違法!

労働基準法では、残業や休日出勤をした場合、企業は割り増し賃金を支払うよう定められています。これを守らない事業者は、労働基準法違反として懲役6か月以下または30万円以下の罰金に処せられることがあるのです。
しかし、サービス残業にもさまざまなパターンがあるので注意が必要です。名ばかり管理職問題や定額残業制度の悪用について知っておきましょう。

問題となっている「名ばかり管理職」
労働基準法上、「管理監督者」に該当する人は労働時間等について法律上の制限を受けません。つまり、割り増し賃金が支払われなくても違法ではないということになります。これを悪用して、法律上の管理監督者に該当しない従業員に役職名だけを与えてサービス残業をさせている企業があります。こうした「名ばかり管理職」に関しては過去に様々な訴訟が提起されており、違法だとされています。
しっかり理解しておきたい「定額残業制度」
定額残業制度は、「固定残業制度」や「みなし残業制度」と呼ばれることもあります。基本給とは別に毎月定額の残業代を支払う制度です。実際の残業時間が定額残業代に満たない時間数であっても固定で支払われるものですが、この制度が悪用されているケースもあります。
定額残業制度を法律に沿って正しく運用するには、就業規則や労働契約などで、基本給、定額残業代の想定残業時間および残業代などを明記しておく必要があります。定額残業制度を導入していても、定額残業代に相当する残業時間を超えて残業した場合は、企業は残業代を支払わなければなりません。「どれだけ残業しても残業代が定額」ということではないので注意が必要です。このことを企業側も労働者側もしっかりと理解してサービス残業トラブルが生じないようにする必要があります。

個人で悩んでいる場合はどうすればいいの?

サービス残業に苦しんでいる人はどのような手段を取ることができるのでしょうか?個人が企業と直接交渉するのが難しい場合には、以下のような方法があります。

  • 各都道府県にある総合労働相談コーナーへ相談する
  • サービス残業代を計算して雇用主(企業)へ請求書を送る
  • 各都道府県にある労働基準監督署に報告する
  • 地方裁判所へ申し立てて調停や労働審判を行う

なお、サービス残業代の請求権は2年を経過すると原則時効となります。自分ひとりでサービス残業代を請求するのが不安な場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家へ依頼するのも有効な手段でしょう。


労働基準法に定める労働時間を超えて労働した時間は残業に該当します。企業は割り増し賃金を支払う必要があるのです。しかし多くの企業でサービス残業の実態があるのが現状です。企業も従業員も時間外労働に関する正しい知識を身につけ、サービス残業のない社会となってほしいものですね。

参考:
  • 厚生労働省|監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

丹所美紀
アステル行政書士事務所代表 行政書士・知的資産経営認定士
「皆様の明日を照らす」を理念とし、建設業許可申請をはじめとする各種許認可申請、知的資産経営支援、事業計画書や補助金申請書等の作成代行、遺言相続業務、会社設立支援、外国人関連業務等に従事。
ホームページ:名古屋遺言書作成支援センター