安易な起業は危険!起業のメリット&リスク

マネープラン

「プチ起業」という言葉も聞くようになり、ひと昔前に比べて起業のハードルは低くなりました。会社員として働いていると、「自由に働けそう」「儲かりそう」という理由で起業にあこがれる人もいるでしょう。しかし、起業には「失敗する」という大きなリスクがあります。今回は、起業のメリットと会社設立の手順、そしてリスクと失敗したときにできることを見ていきます。

起業するとどんなメリットがある?

日本政策金融公庫の「起業と起業意識に関する調査」(2015年)によると、事業経営経験のない人の中で、起業に関心がある人は18.3%存在します。個人事業主として起業する方法もありますが、ここでは会社を設立して起業することを考えてみましょう。まず、起業するメリットを見ていきます。

社長という地位により、社会的信用が上がる
例えば介護事業所のように、法人でないと許認可を受けることができないものがあります。通常の取引でも、法人でない場合、取引してもらえないことも。こうした点から見ても、法人の社長は、個人事業主よりも信用があると言えます。
経費を使えるようになり一定以上の所得があれば節税できる
個人事業主の場合、累進課税制度により課税されます。そのため、所得が一定以上に増えて、それが継続する場合、法人化した方がお得な税率になることも。また個人事業主より法人の方が、経費として認められる幅が広くなります。この他にも法人化した方が節税できることも多々あります。節税について詳しく知りたい場合は、税務署や税理士へ相談するとよいでしょう。
決定権を持ち、リーダーシップを発揮できる
経営者には上司がいません。自分で方針を決めて経営の道筋を立てられますし、方針に沿うようリーダーシップを発揮することもできます。その結果、自分の思い通りの経営ができたときや、お客さまに感謝していただけたときの喜びは格別です。

起業するまでの手順

起業して会社を設立する場合、どのような手順で進めるのでしょう。

  1. 会社の種類を決める
    会社の種類には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つがあります。各種類の特徴の紹介は省略しますが、起業する人の多くは株式会社か合同会社を選択しています。
  2. 会社名を決める
    例えば、介護事業所は法人でなければ指定申請を受けることができませんが、介護事業所の名前は「デイサービスセンターXYZ」といった屋号が多いですよね?ここでいう会社名とは、屋号ではなく、株式会社イロハ、ABC合同会社など、法務局へ登記する商号のことをいいます。
  3. 商号調査を行う
    設立する会社と同一または類似の商号(会社名)の会社がないか、同一の商号の会社が同一の本店所在地または同一市町村内にないかなどを調査します。
  4. 定款を作成する
    会社の事業目的、組織、事業年度などの重要事項を定めた「定款」を作成します。株式会社であれば公証人役場で定款の認証を行う必要がありますが、合同会社には定款の認証は不要です。
  5. 資本金を払い込む
    まだ会社設立前なので会社名義の通帳はつくれません。そのため出資者が、会社の代表者の個人口座へ出資額を振り込みます。
  6. その他必要書類を作成する
    就任承諾書、払込証明書、印鑑届書など、法務局で会社の登記申請をするために必要な各種書類を作成します。
  7. 登記申請する
    法務局で会社の登記を申請します。株式会社の場合は15万円~、合同会社の場合は6万円~の登録免許税が必要で、登記申請の際には各種書類、登録免許税、印鑑証明書を持参することが多いです。
  8. 登記完了
    一般的に登記申請から1週間~10日間前後で登記が完了します。これで会社設立が完了し、謄本や印鑑証明書を取得できるようになります。

起業における最大のリスクと「失敗」したときできること

起業にはさまざまなメリットがありますが、残念ながら成功例は限られているのも事実です。起業の最大のリスクは事業に失敗すること。失敗例は、店舗を開店したけれど思うように集客できず、経営が立ちいかなくなってしまった…などでしょう。また、失敗して会社をたたむ際、借入金が残ってしまうこともあります。起業したのに失敗した際、何ができるでしょう?

事業譲渡する
経営はうまくいかなかったけれど、特に優れた技術やノウハウ等がある場合、事業譲渡をして会社を購入してもらう方法があります。
解散登記をして清算し、解散確定する
借金がない、あるいは債務が少なくて自力で清算できる場合は、法務局で解散登記をして会社を解散・清算する方法があります。
事業再生を試みる
現時点では成功できていないものの、もう少し事業を継続したい場合、事業再生を試みる方法があります。事業再生には、裁判所を通じて行う法的再生と、自力で行う私的再生とがあります。
自己破産をする
経営に失敗して多額の借金を抱えてしまった場合、自己破産をする方法があります。裁判所から免責決定が出れば、一部を除き、今までの借金を返済する必要がなくなります。

株式会社の最低資本金制度が廃止されてから、会社を立ち上げて起業することのハードルが下がりました。起業すると多くのメリットがありますが、その反面、さまざまなリスクを抱えることにもなるのです。起業をめざしている人は、そのメリットとリスクを知ったうえで、自分にとって最適なタイミングを見計らって行動しましょう。

参考:
  • 日本政府金融公庫|起業と起業意識に関する意識調査
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

丹所美紀
アステル行政書士事務所代表 行政書士・知的資産経営認定士
「皆様の明日を照らす」を理念とし、建設業許可申請をはじめとする各種許認可申請、知的資産経営支援、事業計画書や補助金申請書等の作成代行、遺言相続業務、会社設立支援、外国人関連業務等に従事。
ホームページ:名古屋遺言書作成支援センター