ニュースをにぎわす政治とカネの問題。政治資金規正法は「ザル法」なの?

マネープラン

今年は初めての女性都知事の誕生が話題になりましたが、発端となったのは前東京都知事をめぐる政治とカネの問題でした。本件のみならず、国会議員のなかでも政治とカネの問題はたびたび起こり、毎回大きな議論を呼んでいます。その際、「政治資金規正法」という法律の名前を耳にすることも多いですよね?一部ではザル法だともいわれている政治資金規正法とは、どのような法律なのでしょうか。

政治資金規正法に関する疑問

政治資金規正法に関するよくある疑問についてみていきましょう。

Q1 政治資金を規正するとはどういうこと?
A1 政治資金の規正には2つの内容があります。1つは政治資金の収支の公開、もう1つは政治資金の授受の規正等です。政治資金の収支の公開とは、政治団体に作成を義務付けた「政治団体の収支報告書」を国民へ公開することです。
Q2 政治資金の授受の規正等とはどういうこと?

A2 政治資金の授受の規正等とは、政治団体を除く会社や労働組合などの団体が寄附する対象者の制限、公職の候補者の政治活動に関する寄附の制限、寄附の質的および量的制限、その他公正な流れを担保するための措置、運用の制限をいいます。

寄附の質的制限とは、一定の要件に当てはまる者からの寄附を規制すること。禁止されている寄附は下記の通りです。

  • 外国人や外国法人などからの寄附
  • 他人名義の寄附や匿名での寄附(一部例外あり)
  • 国や地方公共団体から一定の補助金などを受けている法人からの寄附(一定期間または一切の禁止)
  • 3事業年度以上赤字が続いている法人からの寄附(赤字が解消されるまでの間)

そして寄附の量的制限とは、ひとつの寄附者が政治活動に関して一年間に寄附することができる金額を制限しているということです。ある寄附者からある受領者に対して年間総額いくらまで寄附できるかという個別制限と、ある寄附者が年間で総額いくらまで寄附できるかという総枠制限とがあります。そのほか、公正な流れを担保する措置として、寄附者に圧力をかけ意思に反して寄附をさせること、寄附への公務員の関与を制限することなどがあります。

Q3 政治資金規正法の規正対象は?
A3 政治資金規正法で規正の対象となるのは、政治団体および公職の候補者です。まず、政治団体には、政党、政治資金団体、後援会をはじめとするその他の政治団体があります。政治団体を設立した際は届出を出さないと、寄附を受けたり支出をしたりすることができません。
公職の候補者は、公職にある者、公職の候補者(候補者になろうとしている者を含む)です。公職の候補者は、自身が代表を務める政治団体のうちのひとつを資金管理団体(候補者個人の政治資金を管理する政治団体)に指定できます。資金管理団体にかかる寄附にはさまざまな特例が設けられているのです。
Q4 運用等の制限とは?
A4 政治資金の運用方法は、預貯金、国債や地方債の取得など、安全かつ確実なものに限定されています。政治資金で株券を購入して運用を行うなどの投機目的、資金管理団体が不動産を所有することなどは原則として禁止されています。
Q5 罰則はどうなっているの?
A5 政治資金規正法に違反したり虚偽記載をしたりすると、最高で100万円の罰金、5年以下の禁錮、1年以下の懲役と重い罰則が科されます。また、科された罰則によっては、公職選挙法に規定する選挙権および被選挙権が一定期間失われることもあるのです。さらに、匿名による寄附は国の財産とされるなど、没収や追徴が行われるケースもあります。

政治資金規正法はなぜザル法といわれているの?

政治資金規正法にはさまざまな規定があり、厳しい罰則があるにもかかわらず、なぜ政治とカネの問題が頻発するのでしょうか?それは、政治資金規正法には抜け穴があるからです。ザル法といわれる主な理由の一例を挙げてみましょう。

  • 年間5万円以内であれば寄附者の氏名等を報告する必要がない
  • ひとつの政治資金パーティーごとに20万円以下であれば支払者の氏名等を報告する必要がない
  • 領収証等の徴収義務が1件当たり5万円以上である
  • 収支や資産等の状況に関する報告のみで使途についての規制がない

確かにこれらは、一般企業では考えられないくらい甘い報告義務や規制です。議員自身が、自分たちを規正する立法をするため、お手盛り(自分たちの都合のよいように決定すること)だといわれることも…。多くの国民から支持される政治資金規正法へ改正される日が来ることを願うばかりですね。

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ライター紹介

丹所美紀
アステル行政書士事務所代表 行政書士・知的資産経営認定士
「皆様の明日を照らす」を理念とし、建設業許可申請をはじめとする各種許認可申請、知的資産経営支援、事業計画書や補助金申請書等の作成代行、遺言相続業務、会社設立支援、外国人関連業務等に従事。
ホームページ:名古屋遺言書作成支援センター