どうやって支給額が決まる?意外と知らない生活保護の仕組み

マネープラン

生活保護は時に、就業しているにもかかわらず貧困から抜け出せない「ワーキングプア」と比較され、批判の対象になります。しかし、状況によって収入が得られなくなる可能性は誰にでもあるのです。万が一の時に利用するかもしれない生活保護は、大事なセーフティネットといえます。どのくらいの人が、どういった理由で受給しているのでしょうか。また、受給額はどのように決まるのでしょうか。意外と知らない生活保護の仕組みについて解説します。

生活保護ってどんな制度?

生活が苦しければ誰でも生活保護が受けられるわけではありません。資産や能力などをすべて活用しても、なお生活できないと判断された人に、必要最低限の生活を援助するという制度です。そのため、仕事に就ける人は能力に応じて働くことが求められます。

受給しているのはどんな人?

厚生労働省の調査(平成28年5月分概数)によると、一種類でも生活保護を受けている人の数は2,148,282人、被保護世帯は1,633,401世帯でした。世帯別内訳は下記の通りです。

  • 高齢者世帯 51%
  • 傷病者世帯 15%
  • 障害者世帯 12%
  • 母子世帯 6%
  • その他 16%

高齢者世帯が増加傾向で51%を占めます。また、全体を見ると、被保護者人数は減っているのに被保護世帯は増加しているのです。「老齢」「病気・ケガ」「単身・ひとり親世帯」などが8割以上を占め、家計的にマイナスの要因がある世帯が多いことがわかります。要因はどれも他人事ではありません。誰でも生活困難者になる可能性があるのです。

支給額はどのように計算するの?

支給額の仕組みについても見ていきましょう。生活保護費は全部で8種類に区分されています。

  1. 生活扶助 食費・被服費・光熱費など
  2. 住宅扶助 アパートなどの家賃。実費で支給
  3. 教育扶助 義務教育を受けるための必要費用
  4. 医療扶助 直接医療機関へ支払われるため本人負担はない
  5. 介護扶助 直接介護事業者へ支払われるため本人負担はない
  6. 出産扶助 費用は実費で支給
  7. 生業扶助 就職のために必要な技術を取得するための費用など。実費で支給
  8. 葬祭扶助 費用は実費で支給

扶助の性質ごとに実費払いや直接支払いなど支給方法が異なるのですね。

生活保護の計算手順

生活保護制度の基本原則は「必要最低限の保障」ですので、必要金額は個別に判断する必要があります。支給額計算の際、軸となるのは1.の生活扶助で、それ以外の扶助額は、上乗せする形で支給額が決定するのです。計算のステップをご紹介しましょう。

  1. 生活扶助基準額を決める
    まず、食費・被服費・光熱費などの基準金額を算出します。基準金額は年齢、世帯人数、地域などにより決まっています。
  2. 一定の加算要因がある場合、生活扶助に加算
    障害、扶養児童の有無や母子家庭などの個別要因があれば加算されます。1.と2.を合計した金額の例として、未就学児2人を抱える母子世帯では188,140円、単身高齢世帯の場合は79,790円(どちらも東京都区部在住の場合、平成28年4月1日現在)とされています。
  3. その他の支給額を加算
    1.2.のほかに住宅扶助、教育扶助、医療扶助などが必要に応じて加算されます。

1.~3.の合計が「最低生活費」ですが、全額もらえるとは限りません。年金や児童扶養手当などの収入があれば、その分を差し引いた額が支給されます。

利用は慎重に!生活保護の注意点

生活に困っても、すぐに生活保護を受けられるわけではなく、生活状況や資産の調査が行われます。例えば車を所有しているならば、保有の理由がない限り処分する必要があります。預貯金や生命保険なども立派な資産ですので、そういったものから生活費に充てなければなりません。原則として、大事な資産をまず放出したあとでなければ生活保護を受給できないのです。苦境が一時的なものなら、処分せずに乗り切ることも検討したいところです。


不正受給やワーキングプアとの兼ね合いで批判もある生活保護制度。世間の目が気になるので受給は避けたいという人もいるかもしれません。しかし生活保護は生活を立て直すための、有効な手段です。本当に困った時に利用できるよう、制度を正しく理解しておきたいですね。

参考:
  • 厚生労働省|生活保護の被保護者調査(平成28年5月分概数)
  • 本ページの内容は掲載時点での情報です。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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