よく耳にする「経済効果」ってどうやって計算しているの?

マネープラン

テレビやラジオ、新聞で「経済効果」という言葉を見聞きする機会があると思います。しかし、その内容や算出方法まではよくわからないという方も多いかもしれません。今回は、「経済効果」の意味や関連するキーワードについて解説します。

そもそも「経済効果」とは?

経済は、「政府」「家計」「企業」の3つの経済主体が互いにお金やサービスを取引することで成り立っています。

例えば、会社員は会社に労働力を提供した対価として給料を受け取ります。その給料で商品を購入したり、サービスを利用したりすると、お店や企業にお金が回ります。さらに、給料や商品・サービスの代金からは税金が徴収されますが、これは公共サービスや社会保障という形で私たちに還元されます。このようなお金の流れを「経済」というのです。

経済効果はどのように生まれるの?

経済効果は、あるできごとが国や特定の地域にどれほどの影響を与えるかを示すもので、その影響の大きさを金額に換算したものです。

例えば、熊本県のイメージキャラクターである「くまモン」の経済効果を考える場合、くまモンを利用したグッズや食品など関連商品の売上が対象となります。2015年のくまモン関連商品の売上高は、なんと1,007億7,800万円。くまモンの人気を1,000億円以上という具体的な数値で表すことで、より客観的に注目度の高さを計ることができます。

「波及効果」と「直接効果」

経済効果は、ひとつの産業で完結するわけではありません。例えば、自動車を生産するには、多くの部品や資材が必要です。例えば、自動車の生産量が増えると、タイヤの原材料となるゴムや車体の塗装に用いられる塗料など、自動車の製造に関連するものも連動して生産量が増えることになります。このように、ひとつの需要を満たすために新たな需要が誘発されることを「波及効果」といいます。

「直接効果」は、その名のとおり需要から直接発生する効果のことです。人気アイドルのコンサートで考えてみると、チケットの売り上げが直接効果、入場者や報道関係者の交通費、飲食代、雑費などが波及効果になります。

経済波及効果はどうやって計算するの?

経済波及効果を算出する際のベースとなるのが、「産業連関表」です。総務省が中心となって、国全体を対象にしたものを5年ごとに作成・公表しているほか、各都道府県や政令指定都市でも作成しています。「産業連関表」には、各産業や消費者の間でモノやサービスがどのように生産・販売されたのかがまとめられています。
表の横軸にはモノやサービスを「どこにどれだけ販売したのか」が、縦軸にはモノやサービスを「生産するためにどのような費用を使ったのか」がわかるようになっています。縦軸の合計と横軸の合計はそれぞれ総生産額となり、両者の額は必ず一致します。

中間需要×中間投入 産業A×産業A=2 産業A×産業B=8 産業B×産業A=6 産業B×産業B=18 中間需要×粗付加価値 産業A=10 産業B=16 総生産額 産業A=20 産業B=40 最終需要(家計など) 産業A=12 産業B=14 総生産額 産業A=20 産業B=40

(単位:億円)

上の表でいうと、産業Aの横軸は2+6+12=20。産業Aの縦軸は2+8+10=20。どちらも生産額は【20億円】で一致することが分かります。

また、野菜を例にすると、以下のようになります。

横軸(どこにどれだけ販売したのか)
食品工場や飲食店などに販売した額
縦軸(生産するためにどのような費用を使ったのか)
肥料や農薬、燃料などの費用

それぞれの金額を把握することで、野菜の総生産額を「販売」と「生産」の両面から確認できるのです。

経済波及効果の計算には、産業連関表に記載された実額を加工した「逆行列係数表」を用います。逆行列係数とは、ある産業の需要が1増加したときに、その需要を満たすために必要な生産量を示す係数です。

産業A 1.264×最終需要 12=経済波及効果15.168 産業B 0.92×最終需要 14=経済波及効果12.88 合計28.048

(単位:億円)

上の図によると、産業Aの経済波及効果は
1,264×12=15.168……(ア)
0.920×14=12.88……(イ)
(ア)+(イ)=28.048
つまり、28億480万円です。

例えば、前述の野菜の生産にはタネや苗、肥料や農薬、作業車、燃料などさまざまな産業が関わってきます。こうした各産業への波及効果の度合いも、この係数で算出できます。

経済効果の試算結果が異なることも
経済効果の算出方法は複雑で、同じ事例でも波及効果をどこまで考慮するのかによって試算結果が変わってきます。また、総務省の産業連関表は5年に1回しか作成されないため、タイミングによっては最新の情勢に対応できていないかもしれません。そのため、絶対的な数値ではないことを理解しておきましょう。

ニュースで「経済効果○○億円」と聞いても、その算出方法を意識することは少ないかもしれません。直接効果と波及効果の違いを知っておくだけでも、より深くニュースを楽しめるのではないでしょうか。

  • 本ページの内容は2017年8月16日時点での情報です。
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ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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