突然働けなくなったらどうする?所得補償保険の基礎知識

マネープラン

毎日元気に仕事をしていても、予期せぬアクシデントで突然働けなくなる可能性があります。そのようなときの備えとなる「所得補償保険」や「就業不能保険」。これらは生命保険や医療保険とは違った特色があります。どのような内容で、どんな人に向いているのでしょうか。

所得補償保険と就業不能保険は基本的に同じもの

所得補償保険および就業不能保険は、入院や在宅療養などにより働けなくなったときに備える保険で、前者は損害保険会社が、後者は生命保険会社が販売しています。名称に違いはありますが、基本的な仕組みや特色はどちらも同じです。
この記事では「所得補償保険」に統一して表記しますが、就業不能保険も同様の内容とお考えください。

所得補償保険の特徴
入院や療養に備えることから、所得補償保険は医療保険と似ている印象があるかもしれませんが、性質は大きく異なります。通常の医療保険は入院日数や手術の種類によって定額の保障が受けられるのに対し、所得補償保険は働けなくなったときに「毎月○○万円」という定額のお金を毎月受け取れるのです。
所得補償保険は、収入が途絶えたときに起こりうる生活費の不足に備えるための保険といえます。教育費や自動車・家電のローンなどで月々の支出が大きく、収入が途絶えるとすぐに生活がひっ迫してしまう世帯や、収入源が一方の配偶者に偏っている世帯などに需要が高いのではないでしょうか。
収入保障保険との違い
「収入保障保険」は死亡時や高度障害時などに保障を受けられるもので、通常の死亡保険とは違って保険金を分割で受け取れるのが特徴です。
所得補償保険は、前述のように入院や在宅療養時に保険金を受け取ることができます。両者は名前が似ており、保険金が給与のように毎月分割で受け取れるという点では同じですが、給付の理由も目的も異なる商品です。

所得補償保険ではどんな補償が受けられる?

働けなくなった場合に備えることができる所得補償保険ですが、具体的な内容は各商品で異なります。一般的な所得補償保険の条件や補償内容をご紹介します。

受取開始時期
就業不能になったその日から保障が受けられるわけではありません。多くは、働けない期間が60日~90日程度継続している必要があります。
受取条件
働けなくなった原因によっては、補償の対象外となる場合があります。精神病性障害やアルコール依存症などによる入院・在宅療養がその一例です。
保険期間(加入期間)
保険の対象期間は1年程度と短期間のものと、長期にわたるものがあります。長期タイプの場合、60歳前後に満期となるものが主流です。

所得補償保険は、商品ごとに条件や保険期間に違いがあることがわかります。保険料だけでなく補償内容も十分に確認して選ぶようにしましょう。

所得補償保険は入るべき?その前にチェックしたいポイント

医療技術が向上している昨今、病気やケガによる死亡リスクだけでなく、生活するうえでのリスクに備えることも大切です。所得補償保険は保険金の受け取り開始まで2~3カ月かかるケースがあります。早期に支払われるタイプもありますが、受け取りまでの期間を長く設定すれば保険料の支払額を抑えることができるのです。
また、収入減を補うには貯蓄が最重要であることを忘れてはなりません。所得補償保険は基本的に掛け捨て型なので、何事もなく保険期間を終えることも考えられます。

公的保険の「傷病手当金」も活用しよう
所得補償保険を契約する前に、公的な支援である「傷病手当金」をチェックしておきたいところです。傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガによって会社を休んだときに一定の金額を受給できる制度です(業務上・通勤災害によるものは労災保険の適用対象です)。会社の健康保険に加入していることが要件で、3日以上連続で会社を休むと翌4日目から受給できます。
支給額は、「支給開始日以前12カ月の標準報酬月額※の平均÷30日×3分の2」の計算式で算出されるので、給与の6割程度が保障されるイメージですね。なお、傷病手当金が支給される期間は、最長で1年6カ月です。
  • 標準報酬月額は、毎月受け取る給与を一定の金額ごとに区分した額です(ボーナスは含みません)。
自分に合った活用法を確認しよう
同じ入院や自宅療養でも、それによって失われる収入の大きさは人によって違います。もしリスクが大きいのであれば、その人にとっては所得補償保険の必要性も大きくなるでしょう。
共働きで一定の貯蓄がある会社員の夫婦であれば、傷病手当金が受給できるうちは入院・自宅療養などによる金銭的リスクは低そうです。また、雇用保険に加入している会社員には、職を失った際に受給できる失業手当もあります。
それでは、自営業者の場合はどうでしょうか。傷病手当金はもちろん、失業手当もありません。多少保険料が割高でも、所得補償保険に加入する意義があると考えられます。ただし、場合によっては、自宅療養中でも仕事を続けられるケースもあるでしょう。入院や自宅療養が仕事に与える影響の大きさなどを鑑みて、所得補償保険を活用したいところです。

入院や自宅療養をすることになったときのために、まずは利用できる公的支援を把握しておきましょう。貯蓄や公的支援を考慮したうえで、足りない部分を所得補償保険で補うと経済的です。また働き方だけでなく、家族構成やローンの有無によっても入院・自宅療養時のリスクは変わります。リスクが大きいのであれば、保障が手厚い所得補償保険に加入するといいかもしれません。十分に検討を重ねて、賢く保険を利用しましょう。

  • 本ページの内容は2018年3月26日時点での情報です。
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ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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