パナマ文書で話題になったけど…タックスヘイブンって何だったの?

マネープラン

パナマ文書やパラダイス文書が取り沙汰され、話題となったタックスヘイブン。連日報道されたものの、そもそもタックスヘイブンとは何かを知らない人も多かったのではないでしょうか。今回はタックスヘイブンのしくみと2つの文書が公になった経緯について紹介します。

タックスヘイブンって何?

タックスヘイブン(tax haven:租税回避地)とは、税率が低い、もしくはゼロの地域や国のことをいいます。通常、収入には税金がかかりますが、富裕層や大企業などは自国よりも税率の低い国を利用することで納税額を抑えることができるのです。タックスヘイブンとして有名なのは、バハマやケイマン諸島で、税率は0%となっています。

タックスヘイブンのしくみは?
日本の企業を例に、タックスヘイブンのしくみを簡単に説明します。
まず、タックスヘイブンに会社を設立(登記)します。その後、得られた利益をタックスヘイブンの会社で挙げた形にして本国における税の支払いを免れることで、法人税を大幅に削減できるのです。
では、タックスヘイブンとされる国や地域にはどのようなメリットがあるのでしょうか?これらの国や地域は、土地が狭く目立った自国産業がないケースが多く、税率を低くすることで海外からの資金の流入を図っています。タックスヘイブンとして海外から企業が集まることで、会社を設立するときの手数料収入や、手続きに訪れたビジネスパーソンたちが現地で使う飲食・宿泊費などが得られるでしょう。また、資金が集まれば金融機関が進出してきます。さまざまなサービス分野で雇用が生まれ、経済も潤うのです。

話題になったパナマ文書やパラダイス文書って?

もともとタックスヘイブンは秘匿性が高く、情報も厳格に守秘されてきました。各国の法律にもよりますが、納税者の個人情報や口座・預金情報などが外部に流出することはまずありませんでした。そのため、マネーロンダリングや資産隠しにも使われていたという側面があります。しかし、パナマ文書やパラダイス文書の存在によって、これらの情報が公になったのです。

パナマ文書やパラダイス文書とは
世界中の政治家や富裕層がタックスヘイブンをどのように利用したのかを暴いた文書のことです。パナマ文書のネーミングは、パナマの法律事務所から流出したことに由来しています。2015年に匿名の人物が南ドイツ新聞社に提供し、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合:詳細は後述)が世界の報道機関に公開しました。
2017年に公開された、第2のパナマ文書ともいわれるパラダイス文書は、法律事務所アップルビー(イギリス領バミューダ諸島を拠点とする)から流出しました。パナマ文書と同様にICIJが公開したもので、世界各国の著名人約120名のタックスヘイブンへの関与が記載されています。
たとえ合法でも不公平感は大きい
税率は国が独自に決めることができ、たとえゼロでも違法ではありません。タックスヘイブンは合法的な「節税」ができる国や地域だといえます。しかし、巨額の利益を挙げている大企業が納税をしなければ、そのぶんの税収が失われていまいます。財政悪化に悩む各国は、タックスヘイブンへの対応を厳格化しています。
自国のルールに則って税金を納めている側から見ると、莫大な富を持つ富裕層が納税を回避していることは受け入れがたいでしょう。政治家の場合はより深刻で、納税を指導する立場にありながら課税を免れていたら、国民に対して示しがつきません。必ずしも違法とはいい切れませんが、国民の反発が大きくニュースで大きく扱われたため、パナマ文書に名前のあった首相や政治家が辞任に追い込まれたケースもありました。

文書を公開した組織とは?

パナマ文書とパラダイス文書を公にしたICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は、アメリカのワシントンに本部を置く非営利組織です。国境を超えた犯罪や汚職を明るみに出し、権力に説明責任を果たさせることを目的に、1997年に創設されました。ICIJでは、世界65カ国の約190人のジャーナリストたちが、共同で国際的な調査報道をするためのネットワークを構築しています。取材や報道記事の編集といった作業は無料で行っており、各国の個人や財団からの寄付金を活動資金としています。
パナマ文書に関しては、約400人の記者が関わったそうです。文書には法を犯していない人の個人情報も含まれているため、内容を慎重に確認する必要がありました。そのまま情報を公開するのではなく、違法行為を抽出して報道していたのですね。


ICIJという世界的な組織が尽力した結果、私たちがタックスヘイブンの詳細を知ることになりました。タックスヘイブンへの各国の対応は、厳格化の方向へ進んでいます。私たち一般の納税者も、タックスヘイブンの正しい知識を持ち、今後のあり方を議論していくことが求められるでしょう。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
ホームページ:ライフプラン応援事務所
  • 本ページの内容は2018年5月30日時点での情報です。
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