もはや現金不要の国も?海外で進むキャッシュレス化

マネープラン

日本ではキャッシュレス化が進んでいないとされていますが、海外のキャッシュレス事情はどうなのでしょうか。日本ではあまり普及していないデビットカードが主流の国もあり、決済インフラの環境や制度も日本とはかなり差があるようです。海外のキャッシュレス事情を見てみましょう。

海外のキャッシュレス比率はどれくらい?

海外ではどのくらいキャッシュレス化が進んでいるのでしょうか。野村総合研究所が2018年2月に公表した「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」(注1)から、各国のキャッシュレス決済比率を見ていきます。

各国のキャッシュレス決済比率(2016年)
  • 韓国 96.4%
  • イギリス 68.7%
  • オーストラリア 59.1%
  • シンガポール 58.8%
  • 日本 19.8%

比較すると、海外は日本よりもキャッシュレス決済が浸透していることがわかりますね。
突出しているのが韓国ですが、これには明確な理由があります。韓国では、クレジットカード使用金額が年間給与所得の10%を超えた場合、超過額の10%が課税所得から控除される減税措置があります。国を挙げてキャッシュレス化を推し進めているのですね。また、クレジットカードの利用控えに番号がついており、抽選で賞金が当たる宝くじの制度もあります。カード払いの回数が増えるほど当選確率も上がるので、消費者のカード利用の喚起につながっています。
決済方法で見てみると、日本でのキャッシュレス決済はクレジットカードがほとんどですが、イギリスやスウェーデン、インドなどでは、デビットカードによる支払いが主流となっているようです。
こうしたカードによるキャッシュレス決済に加えて、スマートフォンを介した「モバイル決済」も普及してきています。モバイル決済とは、スマートフォンにインストールしたアプリを利用し、個人の銀行口座から即時にお金を引き落とすシステムです。

今後はスタンダードになる?QRコード決済
スマートフォンを使ったQRコード決済もここ数年で急速に普及しました。一般的に、消費者がQRコード決済を利用する際の利用料・手数料は無料なので、気軽に利用できることも大きな理由でしょう。まだ利用経験のない人も多いかもしれませんが、決済方法は非常に簡単です。
  1. スマートフォンに専用アプリをダウンロードして、銀行口座を登録
  2. 会計時、専用アプリでスマートフォンにQRコードを表示
  3. 店舗側がコードをレジ端末(スキャナ)で読み取る
店舗に印刷したQRコードを置き、それを消費者にスマートフォンで読み取ってもらい決済するという方法もあります。この場合、店舗は専用端末を用意する必要がないので、導入コストを安く抑えられます。

紙幣廃止も?海外のキャッシュレス事例を見てみよう

それでは、海外ではどのようにキャッシュレス決済が活用されているのでしょうか。

QRコード決済が浸透する中国
中国で主流となっているキャッシュレス決済は、「アリペイ(Alipay)」「ウィーチャットペイ(WeChat Pay)」というQRコード決済の手法です。消費者は、店頭のQRコードにスマートフォンをかざすだけでスピーディに決済できます。支払いにかかる時間が短縮できるので、消費者の待ち時間が減るだけでなく、お店にとっても人件費の削減につながるというメリットがあります。
キャッシュレス化が進むスウェーデン
北欧ではキャッシュレス化が進んでいる国が多いですが、その中でも特にキャッシュレス決済比率の高いスウェーデンを見てみましょう。スウェーデンでは、2012年に「スウィッシュ(Swish)」と呼ばれる決済システムがはじまりました。これは、スイスの主要6銀行が共同開発したアプリで、個人間送金や店舗での支払い、ネットショッピングなどに使用されています。2017年10月時点で、総人口(約1,000万人)の約6割がサービスを利用しています。キャッシュレス決済の普及により、「現金お断り」の看板を掲示している店舗もあるほどです。
高額紙幣を廃止したインド
2016年11月、インドのモディ首相は、「翌日から1,000ルピー紙幣と500ルピー紙幣、2種類の紙幣を廃止する」とテレビで明言しました。脱税や偽札対策のために高額紙幣2種類を廃止したのです。突然の紙幣廃止により現金が不足し、インド経済は一時混乱しました。しかし、これによりキャッシュレス決済が進み、保険料やガソリン代をキャッシュレス決済した場合には割引をするなどの優遇措置が取られ、キャッシュレス決済の比率は高くなったのです。当初は現金不足を補うためだったのかもしれませんが、結果的にキャッシュレス決済が広く浸透することになりました。

海外におけるキャッシュレス化の背景には、税制優遇や決済インフラの整備、高額紙幣の廃止といったさまざまな事情があるのですね。今後日本でキャッシュレス化を進めるうえで、海外の成功事例を参考にしてみるのもよいかもしれません。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
ホームページ:ライフプラン応援事務所
出典:
  • (注1)野村総合研究所|キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識
  • 本ページの内容は2018年9月10日時点での情報です。
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