通勤ラッシュにつきものの電車遅延!経済損失や仕事に与える影響は?

マネープラン

電車で移動中に遅延が発生し、出勤や大事な予定に遅れてしまった経験がある人は多いのではないでしょうか?電車遅延は、私たちの生活だけでなく経済にも大きな影響を与えています。遅延による経済損失や仕事への支障、海外の遅延事情などを見ていきましょう。

電車遅延による損失はどれくらい?

電車の遅延における経済損失とは?
人身事故や自然災害などで電車が大幅に遅れたり運休したりすると、運転再開までの待ち時間やほかの鉄道路線への迂回など、乗客の移動時間や交通費に影響が及びます。これらが、乗客(または乗車予定だった旅客)が被る経済的損失です。特に、鉄道利用者の多い大都市での遅延や運休は、大規模な損失を引き起こす場合があります。
損失額を算出すると?
公益財団法人鉄道総合技術研究所は、輸送障害時における旅客が被る経済的な損失の評価手法を開発しました(注1)。具体的には、旅客にとっての1分の価値を金額に換算した時間価値で算出します。
時間価値は平日の朝10時までが最も高く32.8円、午後4時までの昼の時間帯が31.7円、午後4時以降の夜の時間帯が31.5円です。休日は朝が28.8円、昼が24.1円、夜が25.1円。全体の平均は、30.8円となっています。
例えば平日の朝8時に人身事故が起きたことで30分の遅延が生じ、1万人の旅客が影響を受けたとしましょう。ひとり当たりの損失額は、32.8円×30分で984円となり、全体の経済損失は984円×10,000人で984万円となります。かなり大きな損失になることがわかりますね。

ビジネスにも影響する電車の遅延

遅延証明書があれば遅刻にならない?
いつもの時間に家を出たのに、電車遅延のせいで始業時間に間に合わなかった…。このように自分に落ち度がない場合でも、遅刻扱いになったり給与が減額されたりするのでしょうか?
結論からいうと、遅刻になるか否か、給与が差し引かれるか否かは会社のルールによって異なります。電車が遅れたことの証明として鉄道会社が発行する遅延証明書を提出すれば、遅刻扱いにならず減給されない会社も多いです。しかし、インターネット経由で入手した遅延証明書は不可、といった独自のルールが設けられている場合もあります。一度、会社の規定を確認しておくとよいでしょう。
電車遅延が原因で商談がダメになったら?
電車遅延が原因で商談に大幅に遅れてしまい、大きな取引が白紙になってしまった…。このような状況になった際、失われた利益を鉄道会社に請求したくなるかもしれません。しかし、実際には無理でしょう。この場合、電車の遅延がなければ取引が必ず成立していたことを証明できない限り、損害賠償の請求はほぼ不可能です。
鉄道会社は乗客を目的地まで運ぶことを約束する「旅客運送契約」を、乗客との間に結んでいます。この契約における義務は「目的地まで運ぶ」ことで、「時間どおりに運ぶ」ことまでは含まれていません。また、遅延による損害賠償を認めてしまえば、鉄道会社側は莫大な金額を支払うことになり、低価格でのサービス提供は難しくなってしまいます。

イギリスは電車遅延が多い?海外事例を見てみよう

日本の鉄道はほぼ時間どおりの運行が当たり前ですが、海外はどうなのでしょうか。イギリスの例を見てみましょう。イギリスにおける定時運行率は、それほど高くはありません。遅延の主な原因は、時間の余裕、乗務員の数、上下分離方式です。
まず、定時に運行できるような、時間に余裕のあるダイヤが組まれていません。そのため、ラッシュ時には少しの遅れがきっかけとなって、遅延がどんどん拡大していきやすいのです。
また、イギリスでは乗務員の不足または不在が、列車の遅延や運休の理由として説明されることがあります。日本では常に、何かあったときのために交代要員が用意されているでしょう。しかし、イギリスでは乗務員が何らかの理由で発車時刻に間に合わない場合、乗務員が到着するまで待ったり列車が運休になったりします。
さらに最大の問題は、列車の運行とインフラの管理を別々に行う上下分離方式です。日本のJRでは列車運行からインフラまで一体で管理されているので、遅延を解消するためのダイヤ改善やインフラの改良を迅速に行えます。一方、イギリスをはじめとする欧州各国の鉄道では、政府がインフラを保有し、鉄道会社が列車を運行しているのです。線路の改良をしたくても、決定権を持っているのは政府。鉄道会社は与えられた環境の中で最善を尽くすしかないのです。


日本の鉄道は時間に正確だといわれていますが、事故や天候といった予測不可能な原因による電車の遅延は避けられません。大事な会議や商談がある日は、時間に余裕をもって行動するようにしたいですね。

ライター紹介

横山晴美
企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する住宅系ファイナンシャルプランナー。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
ホームページ:ライフプラン応援事務所
出典:
  • (注1)公益財団法人鉄道総合技術研究所|輸送障害が旅客に与える経済損失の評価手法
  • 本ページの内容は2018年9月21日時点での情報です。
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