出版不況や違法サイト問題…激変するマンガ業界を見てみよう

マネープラン

著作権を侵害した無料でマンガが読める海賊版サイトがニュースで話題になりましたが、海賊版サイトとはどのようなものなのでしょうか?また、こうした違法サイトに対し、どのような動きが起きているのでしょうか?マンガ業界の売上げや、正規の無料サイトの収益モデルとともに見ていきましょう。

海賊版サイトとはどんなもの?

海賊版とは、著作権者からの許可を得ずにコピーされた書籍、音楽、映像、ソフトウェアなどを指す言葉です。こういった著作物を大量に無断で公開しているのが、海賊版サイトと呼ばれる違法のウェブサイト。問題となったマンガの海賊版サイトは、本来は有料であるはずのマンガ作品を、いくらでも無料で読ませていたのです。

海賊版サイトでの閲覧・視聴は罪になる?
まず、このような違法サイトを利用すると、罪に問われるかどうかを見ていきましょう。倫理的な問題は別として、「見る」だけであれば罪にはなりません。マンガでも、アニメや映画といった映像コンテンツでも、インターネットのブラウザ上での閲覧であれば刑事罰の対象にはならないのです。
違法なコンテンツをダウンロードしたら?
では、違法に公開されているコンテンツを、ダウンロードした場合はどうでしょう?映像や音楽のダウンロードは罪になりますが、マンガは刑事罰の対象外となっています。ただし、自らの手でコンテンツを違法にアップロードすることは、マンガも含めて罪に問われます。

マンガ業界の売上と違法サイトに対する動き

マンガ市場と違法サイトの影響
出版業界の不況が叫ばれていますが、マンガ業界も例外ではありません。全国出版協会が発表した2017年の出版市場の統計(注1)によると、紙と電子を合計したコミック(マンガ)市場規模の推定販売金額は前年比2.8%減の4,330億円です。
紙のコミックス(単行本)は前年比14.4%減の1,666億円で、大幅に減少しました。電子コミックスは前年比17.2%増の1,711億円となり、紙の売上げを上回りました。しかし、電子コミックスの成長率は2016年度(27.5%増)と比較すると鈍化しています。
電子コミックスを含めたマンガ市場が伸び悩んでいる理由はいろいろと考えられます。なかでも、違法サイトが与えている影響は、決して小さくないでしょう。
内閣府の資料(注2)によれば、日本のインターネット利用者の約4人に1人(月平均)が、海賊版 サイトをはじめとする著作権侵害サイトにアクセスしているそうです。主な海賊版サイトがもたらす著作権侵害の損失額は、約4,000億円という推計もあります。
違法サイトは取り締まれないの?
問題となったマンガ海賊版サイトは、ほかの誰かが違法にアップロードしたマンガ作品の画像を集めているだけ、と主張していました。また、ウェブサイトが置かれているサーバーが海外にあることも、日本からの摘発が容易でない理由です。
そこで、2018年4月に政府は緊急対策として、特定の海賊版サイトへの接続を遮断すること(サイトブロッキング)をインターネット事業者に促す決定をしました。実際に、NTTグループ3社が、海賊版サイトへの接続遮断を開始しています。一方で、「通信の秘密を侵害する」「検閲にあたる」といった反発も、法曹界やインターネット関連団体などから出ています。
また、著作権侵害を助長している、「リーチサイト」の存在も無視できません。これは、海賊版サイトのリンクをまとめて掲載し、ユーザーを違法サイトへ誘導することを目的としたサイトのこと。リンク先が違法サイトでも、リーチサイト自体が違法なコンテンツをアップロードや配信していないのであれば、現行法では罪に問うことが難しい状況です。政府は、こうしたリーチサイトを規制する法案も提出する予定です。

無料でマンガが読めるサイトはどんな仕組み?

無料でマンガを読めるサイトは増加中
無料でマンガを読みたい場合は、正規のサイトやアプリを利用しましょう。合法的に無料で読めるマンガを提供しているサイトには、以下のようなものがあります。
少年ジャンプ+
集英社が運営するサイトです(アプリもあり)。少年ジャンプの人気作品からオリジナル作品まで、毎日無料で読むことが可能。100を超える連載作品(2018年5月時点)のほかに、読み切り作品もあります。
スキマ
1万タイトル2万8,000冊以上(2018年5月時点)の無料マンガを配信しているサイト(アプリもあり)。いつでも最終話まで無料で読める作品と、無料会員登録することで1日1話ずつ読める作品があります。
GANMA!(ガンマ!)
オリジナル新作マンガが無料で読み放題のサイトです(アプリもあり)。読者による評価やコメント、動画視聴によって、マンガ家を応援するシステムを採用しています。
なぜ無料で読めるの?
マンガを無料で配信しているサイトやアプリは、どのような仕組みになっているのでしょうか?
収益モデルはサービスによって異なりますが、広告による収益やアプリ内で使えるコイン課金の利益を、マンガ家や出版社に分配することで運営が成り立っているサービスもあります。
ゲームにも取り入れられている、「基本無料で課金あり」のシステムを採用しているサービスも多いです。1話~数話のみ無料で提供し、新作をひと足早く読んだり、作品を1巻まるごと読んだりする場合は有料となります。
インターネットのサービスは無料で利用できるものが多いため、違法サイトにアクセスして無料でマンガを読むことに対する罪悪感があまりないという人もいるかもしれません。しかし、マンガは、マンガ家が全身全霊をささげて生み出している作品です。そう考えたら、海賊版サイトを利用しようとは思えないのではないでしょうか。

無料のマンガは正規のサイトやアプリで読み、気に入った作品はお金を払って購入しましょう。マンガ業界が存続・成長していくためには、私たち消費者の意識も大切です。

出典:

  • (注1)公益社団法人全国出版協会|2017年のコミック市場規模発表
  • (注2)内閣府|インターネット上の海賊版対策に係る現状と論点等整理
  • 本ページの内容は2018年5月20日時点での情報です。
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