カジノが日本にできたら…いったいどんな影響があるの?

マネープラン

今年に入ってカジノに関連する法案が成立し、日本にカジノをつくろうという動きが進んでいます。カジノができると、何が変わるのでしょうか?カジノビジネスで成功している代表的な海外都市における収益モデルや、日本にできた場合のメリット・デメリットについて解説します。

日本版カジノはどんな施設になる?

政府は2018年4月に、カジノに関連する法案を閣議決定しました。正確な名称は「IR実施法案」。IRとは統合型リゾート(Integrated Resort)の略で、カジノだけでなく、ホテル、ショッピングモール、レストラン、テーマパーク、劇場などが一体となった複合観光施設を指します。施設の建設地などは未確定ですが、カジノ施設の規模は、IR施設全体の延床面積の3%以下に制限されています。

IR実施法案から見る日本版カジノとは
この法案では、日本人や日本在住の外国人の入場料は6,000円となっており、訪日外国人は無料です。国内の利用者に対してはギャンブル依存防止の観点から高めの料金が設定され、訪日外国人には観光客の誘致拡大のため無料となっているのですね。
また、日本人には入場回数の制限が設けられており、週3回、月10回までが上限となっています。さらに本人確認のためにマイナンバーカードが使用されます。
カジノ事業者に課される納付金は、定率で収益の30%とされます。徴収した納付金は、施設が置かれている都道府県と国で折半し、観光や福祉などに充てられます。
カジノを含む統合型リゾートの数は、当面は3ヶ所が上限となっています。施設の誘致を希望する地域の声に配慮するため、最初の区域認定から7年後に認定数の見直しができるようになっています。
このIR実施法案は、与野党の激しい攻防の末、2018年7月の通常国会で成立しました。

海外のカジノはどうやって利益をあげているの?

日本の都市にカジノができた場合、どのように収益をあげるのが理想的なのでしょうか?例えば、統合型リゾートの建設地として有力視されている東京や大阪では、周辺地域から日帰りで訪れる人も多くなると予測できます。そのため、カジノ中心ではなく、ショッピングや飲食、その他レジャーも充実させることが重要になるでしょう。

海外のカジノ主要都市では、それぞれ異なる収益モデルを取り入れてビジネスを成功させています。代表的な3都市であるラスベガス、マカオ、シンガポールの例を見てみましょう。

ラスベガス
1990年代以前はカジノを中心にビジネスを行っていましたが、総合エンターテイメント路線に転換し、今では全体の収益におけるカジノの割合は縮小しています。代わりに、飲食やショー、イベント、宿泊が収益の半分以上を占めています。テーマパーク型のホテル、人気アーティストのコンサートやシルク・ドゥ・ソレイユといった大型イベントを誘致し、国内だけでなく世界中から観光客を惹きつけています。
マカオ
カジノに特化したモデルです。カジノの収益の割合は全体の7割以上で、さらにその7割近くをVIP客向けの高額カジノが占めています。高額カジノの利用者の多くは、中国人をはじめとするアジアの富裕層です。一晩で数百~数千万円を使う一部のVIP客に依存する収益モデルとなっているため、収益的な観点からはリスクも大きいでしょう。
シンガポール
2010年に2つの施設がオープンしたシンガポールのモデルは、ラスベガスとマカオの中間といえるでしょう。収益全体の中でカジノが占める割合は約半分となっており、カジノによる収益比率が大きくなりすぎないよう規制によって管理されています。これまでのところ、観光客の誘致に成功し順調に収益を拡大させているものの、中国人富裕層が収益面で大きな影響をおよぼす点はマカオと同じです。

カジノがもたらすメリットや懸念点

カジノができれば経済的な恩恵が期待できそうですが、ギャンブル依存症への対応が十分ではないという声もあがっています。カジノには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

期待される大きな経済効果
カジノが生み出す経済効果は、年間2兆円とも6兆円ともいわれています。これらの数字はあくまでも試算ですが、大きな経済効果が期待できることは間違いなさそうです。
まずは、大型施設を新しく建設する際に雇用が生まれ、施設の運営においても労働力が必要となります。統合型リゾートですから、カジノだけでなく、周辺施設での消費も増えて収益をもたらしてくれるはずです。
観光やショッピングに加えてカジノという新たな魅力が加わることで、従来とは異なる層の外国人訪日客を呼び込むことができるでしょう。
いいことばかりじゃない!カジノのデメリット
IR実施法案への反対意見も多くあがっているように、私たちはカジノがもたらすマイナスの影響についてもしっかり考えなくてはなりません。そのひとつは、治安の悪化や青少年への悪影響です。また、反社会的勢力によるマネーロンダリング(資金洗浄)の場となる可能性も懸念されています。
しかし、最も心配されているのは、ギャンブル依存症の助長でしょう。厚生労働省が成人1万人を対象に実施した2017年の調査結果(注1)によると、ギャンブル依存症が疑われる成人は推計でおよそ320万人とされています。また、生涯で依存症が疑われる状態になったことのある人は3.6%となりました。諸外国と比較すると、オランダが1.9%(2006年)、フランスが1.2%(2011年)となっており、日本の割合は高い傾向にあることがわかります。このような状況を踏まえ、依存症予防や患者のケアなどを推進する「ギャンブル依存対策基本法」の整備も進められています。

カジノによってもたらされる経済や雇用への好影響は大きいと予想されますが、一方で、ギャンブル依存症やカジノを利用した犯罪の予防対策もしっかりと行われることが必要なのですね。カジノについての議論は、メリットとデメリットを考慮しながら慎重に進めてほしいところです。

出典:
  • (注1)国立病院機構 久里浜医療センター|国内のギャンブル等依存に関する疫学調査
  • 本ページの内容は2018年8月20日時点での情報です。
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