新卒社員の3分の1が早期離職!その理由と企業が被る損失は?

マネープラン

新卒で企業に就職した社員のうち、3分の1もの人が入社後3年以内に退職するといわれています。就職活動を乗り越え、せっかく入った会社をすぐに辞めてしまう理由は何なのでしょう。また、若手社員の退職による企業側の損失はどれくらいの金額になるのでしょうか?若手社員の早期離職を防ぐための事例とともに見てみましょう。

新卒が3年以内に辞めてしまう理由とは

人材サービスのアデコが、新卒入社3年以内に離職した人を対象に行った調査(注1)から、その退職理由を見てみましょう。多く挙げられた順に、「自身の希望と業務内容のミスマッチ(37.9%)」、「待遇や福利厚生に対する不満(33.0%)」、「キャリア形成が望めないため(31.5%)」、「長時間労働のため(31.2%)」となりました。
また、同調査では、「早期退職をして良かった」と回答した人が77.3%となり、「しなければ良かった」の13.0%を大きく上回りました。業務内容や給与に満足できて、ワークライフバランスも充実した職場を見つけるのはなかなか難しそうではありますが、早期離職を選んだ人の約8割が自身の選択に満足しているのですね。

早期離職は損か?得か?
ひと昔前は、「とりあえず3年は働くべき」などと言われることもありましたが、新卒社員が早期離職をすることのメリット・デメリットは何なのでしょうか。
メリットとしては、早いタイミングでキャリアの軌道修正を図れるという点が挙げられます。もし心身の健康を損なうような職場環境であれば、決断は早い方がよいでしょう。特に新卒社員の場合は、第二新卒の枠を利用して転職活動できるというのもメリットのひとつです。
一方、デメリットとして考えられるのは、短期間で離職していることをマイナスに捉える企業は依然として多く存在するということです。また、前職の被保険者期間が12ヶ月未満の場合は、雇用保険(失業保険)が受けられない可能性もあるので注意が必要です。

退職による企業の損失はどれくらい?

若手社員が早期離職した場合に、企業が被る損失にはどのようなものがあるのでしょうか。
まずは金銭的な損失から見てみましょう。仮に入社して3年の若手社員が退職した場合、退職者一人あたりの損失はおよそ1,500万円と言われています。これには、給与や賞与だけでなく、採用コストや入社後の研修・教育コスト、企業が負担する社会保険料なども含まれています。退職金制度のある会社なら、その費用も加わるでしょう。もちろん企業によって給与や教育にかかる費用は異なりますので損失額に幅はあります。しかし、ざっと見積もるだけでも金銭的な損失の大きさは実感できます。

退職によるマイナスの影響は金銭以外にも
さらに、金銭面以外の損失として、以下のようなものが考えられます。
知識やノウハウ
企業が被る損失として、まずは社員の知識や経験、スキル・ノウハウなどがあります。引継ぎをしても、離職する社員が習得した経験やノウハウを後任者へすべて伝えることは難しいでしょう。本来なら社内に蓄積されていったはずの資産が失われてしまうのは大きなマイナスですね。
社員のモチベーション
若手社員の早期離職によって、他の社員のモチベーションが下がることもあります。離職理由が職場環境や労働条件などに起因する場合は、社員が次々と辞めていく連鎖退職につながる可能性もあるでしょう。また、退職者の業務が残された社員の負担になることもあり、さらなる現場の不満を生むというのもよくある話です。
企業イメージ
退職者が口コミサイトやSNSなどにネガティブな投稿をすることで、企業イメージの低下につながるリスクもあります。新卒・中途を問わず、求職者はインターネットで企業の評判を事前に調べることが一般的になっているので、若手社員が定着しない企業というイメージがつくことで、応募者が減るかもしれません。また、採用だけでなく、取引先への信頼感を損ねる可能性もあるでしょう。

金銭面だけでなく、若手社員の退職は組織全体にとって大きな損失となるのですね。

若手社員の早期離職を防ぐ対策例

リテンション(retention)という言葉をご存知でしょうか。「維持、保有」といった意味がありますが、人事関連で使用するときには「従業員の離職を引き止める施策」のことを指します。具体的には、社内コミュニケーションの活性化や待遇改善などさまざまな方法が考えられます。このリテンションに成功した企業の事例をいくつか見てみましょう。

ケース1. 部門を超えて早期離職を防ぐ
一般的に離職率が高いといわれている飲食業界の中で、焼鳥チェーンの鳥貴族は、人材の定着力が高いです。その理由のひとつとして、入社から1か月前後で人財部(一般企業の人事部にあたる部署)の面接官が店舗に訪問し、新人の状況を把握しています。チェーン展開をしている企業では、採用後の教育は現場任せのケースも多いですが、部署を超えて多面的なフォローを行うことによって早期離職者が激減したそうです。また、鳥貴族は無断残業や休日出勤を禁止しています。働き過ぎの社員には出勤停止命令を出すこともあり、長時間労働からの脱却に取り組んでいます。
ケース2. 従業員に合った人事制度をつくる
ソフトウェア開発を行うサイボウズでは、従業員のワークスタイルを柔軟化するために、選択型人事制度を導入しています。「在宅勤務制度」や、時間や場所ではなく成果や生産性をより重視する「ウルトラワーク制度」が用意されており、社員が自分のライフスタイルに合わせて働き方を選べるようになりました。また、複数の部署に所属する5人以上で構成する「社内部活動」を促進する制度も、社内のコミュニケーション活性化に役立っています。こういったさまざまな取り組みによって、一時28%まで上がった離職率が4%にまで下がりました。
ケース3. 根づいた企業風土を変える
神戸市で食品製造を行うカネテツデリカフーズは、入社3年以内の離職率が50%前後という状態が続いていました。そこで同社は、若手社員の離職率を下げるために新入社員指導員制度を導入。この制度は、指名された勤続2~3年の若手社員が、半年間ほど新人をマンツーマンでフォローする制度です。従来は「先輩社員の背中を見て学ぶスタイル」が主流でしたが、忙しい先輩社員に遠慮して相談ができないといった課題がありました。しかし、この指導員制度の導入により、コミュニケーション不足の改善や新人社員の早期戦力化を実現でき、若手社員の離職率は10%前後にまで減少しました。

若手社員が毎年のように早期離職する場合、その部署だけでなく企業として対策を講じる必要があります。離職率の高い業界の中でも社員が定着している企業の事例を参考にしつつ、組織全体で働きやすい環境づくりに取り組むことが重要ですね。

出典:
  • (注1)アデコ株式会社|新卒入社3年以内離職の理由に関する調査
  • 本ページの内容は2018年11月20日時点での情報です。
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