人生100年時代!高齢者の継続雇用で働き方はどう変わる?

マネープラン

「60歳で定年退職」という時代は終わり、65歳まで仕事をする人が増えてきています。今や当たり前になった高齢者の継続雇用は、労働者や企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれの視点から見てみましょう。

高齢者が継続雇用を希望する背景

厚生労働省が公表している「平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果」(注1)によると、60歳で定年を迎えた人のうち、84.4%が継続雇用を希望し、その後も働き続けています。理由を考えてみましょう。

公的年金の支給開始年齢の引き上げ
現在、公的年金の支給は原則65歳以上が対象です。60歳で定年を迎えたとしても、生活を維持するためには65歳まで働き続けなければならない人が多いでしょう。さらに政府は、年金の受給開始年齢について、70歳を超えてからでも選べるようにする制度改革を検討しています。年金支給の開始年齢が今後も上がり続けるようであれば、働き続ける高齢者も増えていくはずです。
また、長寿化による老後資金の圧迫も理由のひとつでしょう。2017年の日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.26歳となっており、日本は世界でもトップレベルの長寿国です。老後の生活を楽にするために、少しでも長く働いて労働収入を得たいと考える人が多くなるのは当然かもしれません。

企業が高齢者を継続雇用する理由

現在、日本企業の人手不足は深刻化しており、人材難による倒産件数も増えています。人手不足を補うために高齢者を継続雇用することは、企業にとっても大きなメリットがあります。

人件費を抑えつつベテラン社員を活用できる
労働政策研究・研修機構による「高年齢者の雇用に関する調査」(注2)によると、60歳で定年を迎える直前の給与を100とした場合、継続雇用後の給与水準の平均値は73.5となりました。業種や企業規模によって差はありますが、定年前の給与と比較すると、継続雇用後の賃金は2~4割程度下がる傾向にあるようです。これは企業にとって、人件費を抑えながら知識や経験が豊富なベテラン社員を活用できるというというメリットがあります。
採用難の若手社員に代わる労働力を確保できる
昨今、新卒採用は売り手市場となっており、若手社員の転職市場においても人材の確保が難しい状況が続いています。人手不足を補うための労働力として、働く意欲の高い高齢者を継続雇用することは有効でしょう。また、スキルや技術を持っているベテラン社員には、次世代を担う人材を育成する役割も期待されています。

継続雇用で収入が減ったらどうする?

継続雇用によって安定的な収入源は確保できるものの、賃金が下がってしまった分の生活費はどう補えばいいでしょうか。

「高年齢雇用継続給付」という制度がある
継続雇用後の仕事内容や雇用形態、待遇については、各企業の就業規則などで定められており、その運用はさまざまです。しかし前述のとおり、一般的には定年前よりも賃金が下がるケースが多くなっています。
その際、高齢者が活用できるのが、「高年齢雇用継続給付」です。これは、継続雇用で賃金が下がってしまった人に、雇用保険から支給される給付金のことです。
支給対象となる条件としては、原則として60歳以降の賃金(みなし賃金を含む)が、60歳時点の賃金と比較して75%未満となっている人のうち、次の2つの条件を満たしている場合です。
  1. 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること
  2. 被保険者であった期間(雇用保険の被保険者として雇用されていた期間)が5年以上あること

これらの条件を満たせば、賃金が下がった割合に応じて、給付金が支給されます。注意しておきたいのは、賃金が下がってしまった分をすべて給付金でまかなえるわけではない、という点です。

実際の支給額をシミュレーションしてみよう
高年齢雇用継続給付金が実際にいくら支給されるのか、次の例で試算してみましょう。
  • 60歳到達時点での月給が30万円
  • 継続雇用により、60歳以降の給与が30%減の21万円になった

厳密に計算すると非常に複雑なので、厚生労働省の「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」(注3)に掲載されている給付金早見表を利用します。
給与の低下率が70%の場合、支給率は4.67%です。継続雇用後の賃金21万円に4.67%を掛けると9,807円となり、これが支給額になります。雇用継続を援助・促進するための制度ではあるものの、減った分の収入を補うには十分とは言えません。年金支給開始までの生活を維持するためには、ライフスタイルの見直しや節約を心がけることも大切でしょう。


長寿化や年金支給開始年齢の引き上げといった社会的な背景もあり、定年後の継続雇用を希望する高齢者は今後も増加していくでしょう。一方で、継続雇用後に賃金が下がってしまった人を支える高年齢雇用継続給付もあります。老後資金をどう確保するかについては、早いうちから考えておきたいものですね。

出典:
  • (注1)厚生労働省|平成30年「高年齢者の雇用状況」
  • (注2)独立行政法人 労働政策研究・研修機構| 高年齢者の雇用に関する調査
  • (注3)厚生労働省| 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について
  • 本ページの内容は2019年1月23日時点での情報です。
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