水道事業が民営化?水道法改正が私たちの生活に与える影響とは

マネープラン

水は私たちが生きていくために欠かせないものです。世界には片道数時間かけて生活用水を確保する国もありますが、日本は蛇口をひねるだけで、安心な飲料水が手に入る恵まれた国です。そんな水道に関する法律が変わろうとしているのをご存知でしょうか。水道料金の算出方法から水道法改正まで、今回は身近な水道について解説します。

日本の水道普及率や水道料金の基本

厚生労働省の発表している「平成28年度 現在給水人口と水道普及率」(注1)によると、日本の水道普及率は、東京都で100%、最も低い熊本県でも87.6%と、限りなく国民皆水道に近い状態となっています。いつでも美味しい水が飲める、お風呂に入れる、清潔なトイレを利用できるのはとても幸せなことですね。

水道料金の請求はなぜ隔月なのか
水道料金は2カ月に一度、請求書が送られてきます。電気代やガス代は毎月請求されるのに、なぜ水道料金の請求だけは隔月なのでしょう。その理由は、検針や精算にかかる経費を抑えるためです。電気とガスは民間企業が運営していますが、水道は基本的に自治体によって管理されています。営利目的の民間企業は、検針や請求書の発行といった経費がかかっても、なるべく早く料金を請求したいでしょう。一方、自治体が運営する水道局は、経費を抑えることで水道料金をなるべく安くするように努めているのです。
自治体によって水道料金は異なる
水道料金は、固定の「基本料金」と、実際に使用した「従量料金」を合算した額が請求されます。東京都23区の場合で具体的に見てみましょう。
基本料金は、算定に用いるメータの口径区分(呼び径)の大きさによって定められており、23区では最小が13mm、最大で300mm以上まで契約することができます。基本料金は13mmで860円、300mm以上では816,145円となっています。「それなら、最少の13mmにすれば水道料気を安く抑えられるのでは」と思うかもしれません。しかし、シャワーや食器洗いなどで同時に水を使うと水圧が弱くなってしまうので、家族などの複数人で暮らしている家庭にはおすすめできません。
また、基本料金は、都道府県や自治体によって異なります。河川やダムなどの水源や水質が確保できている地域は、浄水施設や管路の設置・管理コストを抑えられるので基本料金が安く、そうでない地域は高くなる傾向にあります。

家の中で一番水道を使うのは?

家庭内で最も多く水を使うのはどんなシーンでしょう。東京都水道局が公表した「平成27年度一般家庭水使用目的別実態調査」(注2)によると、多い順に「お風呂(40%)」、「トイレ(21%)」、「炊事(18%)」、「洗濯(15%)」となりました。シャワーを3分間流しっぱなしにした場合の使用量は、約36リットルといわれています。体を洗うときは、シャワーをこまめに止めたり、湯船のお湯を利用したりするだけでもかなりの節水・節約につながりますね。

水道法が改正されたら生活はどう変わる?

2018年12月に、水道法の改正案が審議・可決されたことをご存知でしょうか。現在は各自治体が水道を管理していますが、これを民営化しようというのがこの法案の目的です。施設の老朽化による耐震性の不安や、経営基盤の脆弱性といった現状の問題点を解決する方法とされています。
民営化にあたっては、施設の所有権を自治体などが保有したまま、利用権を民間に移す「コンセッション方式」が採用されます。民間企業による自由度の高い運営を可能にすることで、利用者ニーズを反映した質の高いサービスの提供が期待されています。

民営化によるメリットとデメリット
民営化がもたらすメリットとしては、企業の持つ独自の技術やノウハウを取り入れた結果、水道料金が安くなるということが挙げられます。また、効率的な運営が実現できれば、水道事業を利用したさまざまなサービスの展開や、潤沢な資金による施設の補強も可能となるでしょう。このようにきちんとした管理がなされるのなら、消費者にとってもありがたい話です。
しかし、民営化にはデメリットも懸念されています。まず、採算が取れない場合、しわ寄せは水道料金に反映されることになるでしょう。また、運営が適切に行われなければ、水質が悪化する危険性もあります。事実、他国では民営化されたことで水道料金が跳ね上がり、水道を利用できない人が続出したり、暴動が発生したりしました。さらに、海外の水道事業で成功を収めているウォーターバロン(水男爵)や水メジャーといった水道事業者が日本に進出してくる可能性も考えられます。

毎日使っている水道ですが、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。今後、具体的になっていく水道事業の民営化は、私たちの生活にとってプラスになるのでしょうか。これからも安全で美味しい水が飲めるよう、動向を注目していきたいですね。

出典:
  • (注1)厚生労働省|平成28年度 現在給水人口と水道普及率
  • (注2)東京都水道局|平成27年度一般家庭水使用目的別実態調査
  • 本ページの内容は2019年2月20日時点での情報です。
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