役員報酬はどう決まる?ルールや金額を見てみよう

マネープラン

昨年あたりから、ニュースなどで「役員報酬」という言葉を聞く機会が増えました。金額の多さが話題になることも多いですが、会社で働く従業員がもらう給与とはどんな違いがあるのでしょうか。今回は、役員報酬の決定方法や、日本の役員報酬の水準などについて見ていきましょう。

役員報酬は「給与」とどう違う?

役員報酬とは一体何なのでしょうか。まずは、役員報酬の概要や金額がどのように決められるのかについて見てみましょう。

役員報酬=会社役員に支払われる報酬
役員報酬とは、取締役社長や監査役といった、会社の役員に対して支払われる報酬のことです。会社の従業員に支払われる給与とは税法上全く異なるものです。
社員への給与は、税法上“損金”として扱います。つまり、利益に対して給与の支払額が大きければ“損した金額”として利益から差し引くことができ、結果的に法人税を減らすことができます。一方で役員報酬は、「毎月同じ金額を支払っている」といった条件を満たさない限り“損金“に算入することはできません。
このような制約が設けられている理由としては、例えば、決算期の直前に役員報酬を増やすことで、法人税の支払いを減らすといった操作ができないようにするためです。
役員報酬はどのように決められる?
役員は自由に報酬を決められるわけではありません。役員報酬額の決定方法としては、株式会社の場合は株主総会の決議、合同会社の場合は社員総会での承認が必要となります。経営者に大きな決定権があるオーナー企業の場合でも、役員報酬を決める際のルールに従わなくてはなりません。
役員報酬の決め方で必ず押さえるポイントは2つです。
  1. 毎月同額であること
  2. 役員報酬の変更は、事業年度開始から3カ月以内のみ可能
意外とシンプルに見えますが、役員報酬の変更は事業年度開始(または会社設立時)から3カ月以内と決まっています。この3ヶ月を過ぎてから、一度決めた役員報酬額を増やすことも可能ですが、その場合は増やした金額の分は“損金”として参入できないというルールもあります。

日本の社長の役員報酬はどれくらい?

日本の社長は、実際どのくらい役員報酬をもらっているのでしょうか。三井住友信託銀行が公表した「役員報酬サーベイ(2018年度版)」(注1)では、日本の東証一部上場企業における報酬水準などを見ることができます。

一部上場企業の役員はいくらもらっている?
日本企業の役員報酬水準は、東証一部上場企業の中央値から見ると、社長が「5,552万円」、取締役が「2,160万円」、社外取締役が「756万円」です。また、1兆円以上の売上高を持つ企業の社長報酬は、中央値で「9,855万円」でした。なお、回答した企業のうち45%が、株式関連報酬(目標の達成度に準じて自社株を与えたり、あらかじめ決めた価格で株を購入する権利を与えたりする制度)を導入しています。
コーポレートガバナンスが重視される時代
東京証券取引所は、2018年6月に改訂版のコーポレートガバナンス・コードを公表しました。コーポレートガバナンスとは、企業が法令を順守し、適切な経営ができるように調整や監視を行う仕組みのこと。この改定により、役員報酬制度の設計や報酬額を決定する手続きにも、透明性や客観性がより強く求められるようになりました。

日米の高額役員報酬ランキング

最後に、米国と日本の企業の役員報酬の上位ランキングを見てみましょう。

米国企業の役員報酬トップ5
「米国会社四季報」に収録されたデータをもとに、2016年の決算における米国の役員報酬トップ5の企業を見てみましょう(注2)。
  1. ウォルト・ディズニー(エンターテイメント) 26.08億円
  2. コムキャスト(情報通信) 19.74億円
  3. アルトリア・グループ(たばこ販売・製造) 19.48億円
  4. タイム・ワーナー(現・ワーナーメディア:エンターテイメント) 18.54億円
  5. オムニコム・グループ(広告) 16.30億円
誰もが知っている総合エンターテイメント企業や情報通信系の企業が名を連ねています。
日本企業の役員報酬トップ5
「役員四季報2019年版」に収録されたデータから、日本企業の役員報酬トップ5を見てみましょう(注3)。
  1. ソニー(取締役) 27.13億円
  2. セブン&アイ・ホールディングス(取締役) 24.03億円
  3. ソフトバンクグループ(副会長) 20.15億円
  4. ソフトバンクグループ(副社長) 13.82億円
  5. ソフトバンクグループ(副社長) 12.34億円
役員報酬総額が10億円を超える役員は10人ですが、そのうち7人は外国人です。欧米に比べると日本の経営者の報酬は低いといわれてきましたが、最近では高額化しているようです。

役員報酬には高額なイメージがありますが、経営者が勝手に報酬額を決められるわけではありません。一般的な会社員の給与と比べると現実味の薄い金額ではありますが、役員報酬制度を知っていることで、ニュースの見方も少し変わるかもしれませんね。

出典:
  • (注1)三井住友信託銀行|『役員報酬サーベイ(2018 年度版)
  • (注2)東洋経済ONLINE | 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業
  • (注3)東洋経済ONLINE |「役員報酬が高い」上場企業経営者トップ500
  • 本ページの内容は2019年2月20日時点での情報です。
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