若い世代は農家に注目?日本の農業に起きている変化とは

マネープラン

農業は、私たちが生きていくうえで大切な“食”を支える職業で、米や野菜、畜産などさまざまな分野があります。近年、農家の高齢化や後継者不足といった話題を耳にすることも増えました。ところが意外なことに、農業を始める人が増えていたり、農家の収入が増加傾向にあったりするのです。日本の農業に何が起きているのでしょうか。

農業に就く人は毎年5万人以上!

農業は人手不足だというイメージを持つ人は多いでしょう。実際はどうなのでしょうか。農林水産省が公表している「平成29年 新規就農者調査」(注1)から傾向を見てみます。
農業を新たに始めた「新規就農者」の定義は、以下の3つに分かれます。

  1. 新規自営農業就農者:家の農業を継いだ人、農家の従業員から経営者になった人や独立した人など
  2. 新規雇用就農者:農業法人(法人の形態で農業を営む事業体)に入った人など
  3. 新規参入者:自身で土地や資金を調達して、農家として独立した経営者になった人(共同経営者も含む)など

平成29年の新規就農者は全体で5万5,670人。調査をさかのぼってみると、平成19年以降、毎年5万人以上の人が新たに農業を始めていることがわかります。
上記の区分で見てみると、後継者不足といった背景もあり「1.新規自営農業就農者」はここ10年で減少しています。一方で、農業法人に就職する「2. 新規雇用就農者」と、新たに農業を始める「3.新規参入者」は増加しています。さらに、49歳以下の新規就農者は平成26年から4年連続で2万人を超えているという意外な結果が見えてきました。

女子にも人気!進化する農業高校

日本には、工業や商業といった専門教育のための学科が設置されている高校があります。文部科学省の平成29年の調査(注2)によると、農業高校または農業科がある高校の数は全国で303校、生徒数では全体の2.5%です。工業科の7.6%、商業科の6.0%といった他の専門科と比較しても少ない傾向にあります。
しかし、農業科に進学する生徒を男女比で見てみると、平成8年には34.3%だった女子の割合が、平成28年には49.0%にまで増えているのです。この20年間で農業科を選ぶ女子が増えた理由は、学べる分野の幅広さにあるようです。現在の農業科では、「ペットトリマー」や「フラワーデザイン」といった女子に人気の職業に関する知識が学べるようになっているのです。
また、農業高校や農業科では、地域性を活かした特徴的な学習内容もあります。北海道では「競走馬の生産」、山口県では「日本酒の醸造」、岐阜県では特産の「飛騨牛の繁殖や飼育」、徳島県では「ドローンを使った実践的な森林施業」、沖縄では「マンゴーやサトウキビの栽培」、といった個性豊かなテーマが取り入れられています。

意外と知られていない農家の収入

ここ数年、日本では異常気象が多くなっており、農作物等も多大な被害を受けています。農家の収入はどうなっているのでしょうか。

農家の収入は増加傾向
農林水産省が平成28年に発表した「農業経営統計調査」(注3)によると、ここ数年の農家の収入は増加傾向にあります。農産物の販売を目的とする農業経営体(個人経営)の農業粗収益は593万円で、前年と比較すると9.1%増加しています。また、農産物を育てるために必要な農機具や飼料などの購入にかかる農業経営費は408万円となっており、こちらも前年比4.3%の増加となっています。結果、農業粗収益から経営費を差し引いた「農業所得」は185万円となり、前年に比べて21.2%増加しました。
農業の経営環境をサポートするさまざまな体制
農業経営には、農家の人の努力では解決できないさまざまな問題もあります。そのサポートをすることを目的につくられた「農業競争力強化プログラム」というものがあります。生産基盤の強化や人材育成など、全13項目からなるこの制度について、具体的にいくつか見てみましょう。
  • 肥料や飼料、農薬、機械といった生産資材の「価格引き下げ」
  • 集荷物を効率よく流通ルートに乗せるための「流通改革」
  • 農業教育システムの充実や産学官の連携による「人材育成」
  • 日本の優れた農産物を世界へ届けるためのインフラ整備といった「輸出力強化」
農家のセーフティネットとなる収入保険制度
天候や自然災害による収穫量の減少や、豊作による販売価格低下など、農家の収入はどうしても不安定になりがちです。このような場合に農業収入の減少を補てんするため、「収入保険制度」の導入が今年から始まりました。青色申告の実績といった利用条件はありますが、基本的に農産物ならどんな品目でも対象となっています。この収入保険に加入することで、各農家の平均収入の8割以上の収入が確保される仕組みになっており、農業経営を続けるうえでの大きなサポートになるでしょう。

人材難や後継者不足とも言われている農業ですが、就農者を増やすための制度の充実や教育環境の整備など、さまざまな取り組みが行われているのですね。農家の経営を支援する体制も充実しつつあり、政府も農業全体の成長を促進しようとしています。

出典:
  • (注1)農林水産省|平成29年新規就農者調査
  • (注2)文部科学省|学校基本統計(学校基本調査報告書)
  • (注3)農林水産省|平成28年農業経営統計調査
  • 本ページの内容は2019年2月20日時点での情報です。
  • 掲載された情報をもとに、お客様がなされた行為によって生じたトラブル・損害について、当社は一切責任を負いかねます。