日本の最低賃金は高い?安い?最低賃金制度の基本を知ろう

マネープラン

労働力の対価である賃金について、日本では法律で最低賃金を定めています。最低賃金制度は、労働者の労働条件を改善し、生活の安定を図るための重要なセーフティネットです。意外と知らない最低賃金制度について改めて確認しておきましょう。

そもそも最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは、「最低賃金法に基づき国が最低限度の賃金を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」とする制度です。
たとえば、最低賃金が800円とされているにもかかわらず、使用者と労働者の間で700円という合意がなされていた場合、これは法律によって無効となります。もし、700円の賃金しか支払われていなかった場合、使用者は100円分の差額を支払わなければなりません。最低賃金額以上の賃金や差額を支払わない場合、使用者は法律によって罰則を科されます。
最低賃金には以下の二種類があります。

地域別最低賃金
地域別最低賃金とは、業種に関係なく適用される賃金のことで、都道府県ごとに定められています。
厚生労働省「平成30年度地域別最低賃金改定状況」(注1)によると、全国加重平均額は874円。加重平均とは単純な時給の平均ではなく、実際に働く労働者数を計算に反映させる算出法です。最も高いのは東京都の985円、最も低いのは鹿児島県の761円となっています。
特定最低賃金
特定最低賃金とは、食料品・飲料製造業関係、繊維工業関係など、特定区域内の産業において、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めるものです。平成29年4月1日現在、全国で233件の特定最低賃金が設定されています。

最低賃金制度の対象範囲は?

最低賃金制度の適用対象となる範囲について具体的に見てみましょう。

対象となる賃金の範囲
最低賃金の対象となる賃金は、「毎月支払われる基本的な賃金」です。具体的には、実際に支払われる賃金から以下を除外したものが最低賃金の対象となります。
  1. (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. (2)1ケ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. (3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. (4)所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. (6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金の対象となるのは、基本給・諸手当のみです。

対象となる労働者の範囲
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。正社員でもパート・アルバイトでも、雇用形態や呼称に関係なく、すべての労働者に適用されます。ただし、試用期間中など一定の条件に該当する人は、最低賃金の適用対象外となります。
なお、派遣社員の場合は、“派遣先”の最低賃金が適用されます。たとえば、神奈川県にある派遣会社に登録している労働者が、東京都内の企業に派遣されている場合は、派遣先である東京都の最低賃金が適用されます。

世界から見た日本の最低賃金は?

OECD(経済協力開発機構)が発表している世界各国の実質最低賃金のデータ(注2)を見てみましょう。2017年の統計によるとトップ5は以下のようになっています。

  1. 1. ルクセンブルク 11.5ドル
  2. 2. フランス 11.3ドル
  3. 2. オーストラリア 11.3ドル
  4. 4. ドイツ 10.6ドル
  5. 5. ベルギー 10.1ドル

日本は8.0ドルで、調査対象となった全32か国中11位でした。ちなみにアメリカは12位(7.3ドル)、韓国は15位(6.4ドル)となっています。日本は、アジアの中では最も高い数値となりましたが、先進諸国と比較すると意外と高くないのですね。


各都道府県の地域別最低賃金は、毎年10月に改定されています。中には最低賃金の改定を認識しておらず、法律に抵触している使用者もいるかもしれません。一度、ご自身の職場の最低賃金はいくらなのか、確認してみることも大切ですね。

出典:
  • (注1)厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧
  • (注2)OECD Stat|Real minimum wages
  • 本ページの内容は2019年3月30日時点での情報です。
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