映画離れの原因はこれ?日本の映画料金は割高なのか

マネープラン

近年、日本人の"映画離れ"が進んでいるといわれていますが、一方で、料金の値上げを発表する映画館もあります。定額制の動画配信サービスなどが盛り上がる中、日本の映画市場はどんな状況なのでしょうか。日本映画が市場を拡大するための取り組みとともに見ていきましょう。

日本の映画市場は1970年代からほぼ横ばい

一般社団法人日本映画製作者連盟の「日本映画産業統計」(注1)によると、日本で公開されている映画全体での興行収入は、ほぼ横ばいで推移しています。鑑賞料金の平均額はじわじわと値上がりしていますが、動員数を見るとは1970年代後半から大きな変化がありません。市場全体を見る限りでは、一概に"映画離れ"とも言い切れないでしょう。
しかし、公開されている映画作品数は増え続けています。つまり、公開しても収益を得られにくい状況になっているということ。映画市場が豊かになっていくためには、私たちがより気軽に映画館へ行けるようにする、映画の海外展開を盛んにするといった取り組みが必要なのかもしれません。

日本の映画鑑賞料金は割高?

映画の動員数が増えない理由のひとつとして考えられるのは、鑑賞料金の高さでしょう。日本では、定額制の動画配信サービスが500円から2,000円程度で提供されていることもあり、1本鑑賞するのに1,000円以上かかってしまう映画料金は割高な印象もあります。
実際、日本の映画鑑賞料金は割高なのでしょうか。映画の鑑賞料金のしくみを、日本とアメリカで比較してみます。

日本の映画鑑賞料金のしくみ
日本の映画鑑賞料金は、映画館の立地や運営会社によって変わることなく、ほぼ一律となっています。例外といえば、一部のシネコンが安く展開しているくらいです。法律で定められているわけでもないのに、価格競争が起きていないのはちょっと不思議ですよね。
そんな中、2019年6月から、いくつかのチェーン映画館が値上げを行いました。TOHOシネマズの場合、1人あたり100円、鑑賞料金を値上げしています。料金改定が起こったことによりこれから価格競争がはじまるのか、他社も値上げに追随して一律の料金になるのか、気になりますね。
アメリカの映画鑑賞料金のしくみ
アメリカの映画鑑賞料金は、その地方の物価に応じて決まるしくみになっています。同じチェーンの映画館でも、日本のように一律ではないのです。
たとえば、物価の高いニューヨーク州では、映画鑑賞料金も日本とほとんど変わりません。一方、比較的物価の安いワイオミング州では、日本円にして700円程度と、手ごろな料金になっているのです。それぞれの映画館でかかる人件費や、店舗・土地の費用を考えると、アメリカ式の価格設定は納得感があるように思えます。

日本のような全国一律料金では、物価の安い地域では鑑賞料金が高く設定されているように見えてしまいがちです。また、たとえ物価の高い地域であっても、レンタルや動画配信と比べれば割高に思えるはず。これでは、映画館に行きにくいと感じるのも当然でしょう。この点を改善すると、今まで以上に動員数が増えるかもしれません。

海外展開に日本映画の活路あり?

私たち消費者にとっては、鑑賞料金が安くなってくれれば映画に行く機会も増えるかもしれません。しかし、映画製作会社や配給会社、映画館が利益を上げていくことも重要です。映画業界を盛り上げ、価格改定に対応できる余裕を生むための手段として、日本映画の海外進出が考えられます。具体的な方法としては次の3つが挙げられます。

日本映画の輸出
日本国内で制作した映画を翻訳し、配給権を販売して海外で公開します。実際にこうした展開で話題になった作品として、最近では「君の名は。」や「シン・ゴジラ」などがあります。日本のアニメ映画や特撮映画などは、海外で人気を得やすいようです。
日本映画のリメイク権の譲渡
日本国内で制作した映画のテーマやストーリーを活かしつつ、キャラクターの設定や文化的に分かりにくい部分などを海外市場に合わせて変更し、新たな映画作品を作るのがリメイクです。ハリウッド版「ゴジラ」や「攻殻機動隊(ゴースト・イン・ザ・シェル)」といった作品が知られています。
販売先のマーケットに合わせてテイストを変えるため、日本の作品をそのまま輸出するよりも現地で受け入れられやすく、ヒット作につながる可能性も高まるといえます。
国際共同制作
国際共同制作とは、2カ国以上の国で出資して制作を進める作品のこと。日本と中国との共同制作による「空海‐KU‐KAI‐」や、日本とトルコとの共同製作「海難1890」などが例に挙げられます。2カ国以上での共同制作ということで、どちらの国でも"マーケットに合う映画"となりやすいのがメリット。市場も2カ国以上に広がりますので、需要の拡大も見込めるでしょう。

近年、動員数が横ばいとなっている日本の映画市場。ほぼ一律の映画鑑賞料金設定は、アメリカと比較して割高に感じられるため、映画を気軽に観に行けない理由のひとつになっている可能性があります。現状を変えるには、国内だけではなく海外展開を視野に入れる必要があるでしょう。

参考:
  • 一般社団法人日本映画製作者連盟|日本映画産業統計
  • 本ページの内容は2019年9月5日時点での情報です。
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