増える美容室、減る理容室…理美容業界のトレンドを見てみよう

マネープラン

清潔感が重視される日本社会では、定期的に散髪に行ったり、大切なイベントの前に美容室に行ったりする人も多いでしょう。また、自分のスタイルや好みを追求するために、通う美容室を転々と変える人も少なくありません。こうした消費者がいる一方、理美容業界全体としては、客数や利用金額の減少に直面しているという現状があるようです。理美容業界に起きている変化とはどんなものなのでしょうか。

理容室と美容室の違いとは?

理容室は男性が行くところ、美容室は主に女性が行くところ、というイメージを持っている人も多いでしょう。そもそも、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、理容室は「理容師法」、美容室は「美容師法」に基づいて業務範囲が定められており、法律上の定義としては、それぞれ以下のようになっています。

  • 理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること
  • 美容とは、パーマネントウェーブ、結髪(けっぱつ)、化粧等の方法により、容姿を美しくすること

古めかしい表現なので少しわかりづらいですが、要するに、理容室では主にカットやシェービングを行い、美容室ではパーマやヘアメイク・着付けなどを行う、という棲み分けがあるのですね。

理美容業界の現状は?

それでは、現在の理美容業界の市場規模などを見ていきましょう。

減少する理容室・増える美容室

総務省の調査(注1)によると、2016年における理美容業界の市場規模は約2兆円で、市場における理容業と美容業の売上高の比率は、1対4ほどになります。
過去にさかのぼってみると、男性が美容室で散髪することについて議論を呼んだ時代もありました。しかし現在、特に若い世代の男性は美容室へ行くのが当たり前になっています。こうした背景を受け、理容室の店舗数は昭和60年をピークに減少傾向が続いており、厚生労働省の調査(注2)によると、2015年時点では全国に124,584店の理容室があります。一方、美容室は微増傾向にあり、2015年時点で240,299店となっています。

理美容サービスへの支出はどう変化した?

前出の厚生労働省の調査結果によると、2005年から2016年までの12年間で、理容室における1世帯当たりの年間理髪料支出額は、6,098円から4,771円へと減少しています。年間の利用回数で見ても、2.01回から1.78回へと減少していることがわかります。
一方、美容室はどうでしょうか。2005年から2015年の1世帯当たりの美容サービスの支出額は、パーマネント代とカット代を合わせて、12,244円から9,739円へと減少しています。
理美容業界全体的に、客数をどう増やしていくかということが経営上の課題となっています。特に理容業界は、経営者の高齢化や若者の理容室離れ、固定客中心の店舗が多いため「敷居が高く入りづらいイメージ」があることも、新規顧客を獲得しづらい原因になっているようです。

理美容に関する最近のトレンド

理美容サービスへの支出の減少やニーズの細分化といった背景を受けて、業界にはどのような変化が起きているのでしょうか。

高級店と格安店の両極化

現在、理美容業界全体の傾向として、低価格チェーンの増加によるサービス価格帯の二極化が見られます。駅前などの好立地に低価格帯のチェーン店が続々と進出している一方で、高い技術を武器に、美容に対して意識の高い層をターゲットとする理美容室も増加しています。ゴージャスな内装や個室、完全予約制を取る高級化路線の店舗では、ワンランク上のサービス提供によってリピーターの獲得につなげています。

専門技術を活かした特化型店舗

特化した専門技術を売りにする店舗も増えています。カラーリングやスカルプケアのみを提供する美容室や、シニア専用の店舗など、特定の層にターゲットを絞ることで、顧客を囲い込んでいます。厳しさを増す理美容業界では、どこで差別化を図るかが経営戦略の大きなポイントとなるでしょう。

理美容師の働き方の変化

多様化が進む現在、理美容師自身の働き方にも変化が見られます。「理美容室の従業員として雇われる」または「経営者として自分の店を持つ」というものが従来の選択肢でした。現在ではそれらに加えて、「個人事業主として、シェアサロンなどの場所を借りて営業する」ケースも増えています。店舗そのものではなく、席や個室を借りる形態で、“面貸し”と呼ばれるものです。雇用されるより自由度が高いため、収入やワークライフバランスなどを自分自身で調整しながら働くこともできそうですね。


社会構造や消費者のニーズの変化にともない、理美容業界は厳しい環境になりつつあります。また、理美容師自体の働き方も多様化していることがわかります。これからは、付加価値を高めたサービス提供や、専門技術による細分化など工夫をこらした店舗も増えていくでしょう。

出典:
  • (注1)総務省統計局|サービス動向調査 平成28年拡大調査結果
  • (注2)厚生労働省|理容業の実態と経営改善の方策、美容業の実態と経営改善の方策
  • 本ページの内容は2020年2月18時点での情報です。
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