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マツヤマイカ
MATSUYA MAIKA
デジタルクリエイター
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まつや・まいか|1998年、埼玉県生まれ。現代風に昇華された昭和レトロな世界観と、端正なルックスに反したユーモラスなキャラクターがSNSで人気を集め、総フォロワー数は200 万人超え。ファンからの愛称は、“様子のおかしい美人”。2024年には音楽活動もスタートさせ、作詞・作曲・MV制作も自ら行う。モデルとしても活躍しており、雑誌やブランド広告などに多数出演。
自己表現に生きるデジタルクリエイター・マツヤマイカさんの、世界観をゼロ距離で伝えるための買い物
踊って歌って、イラストを描いて、ときにはアニメキャラのコスプレまで。そんなコミカルなショート動画が、SNSで大人気のデジタルクリエイター・マツヤマイカさん。
企画はもちろん、撮影、編集、ヘアメイク、衣装スタイリングなどもすべてセルフプロデュースしているからこそ、クリエイティブに関する買い物も人一倍多い様子。
「結果と評価に直結する仕事道具には、投資感覚でお金をかけるようにしています」と語るマツヤさんのスタジオ兼ご自宅にお邪魔して、作品づくりのために購入したものや、買い物の価値観について話を伺いました。
可愛さが作品づくりにも役立つ、ビーズが散りばめられたワンピーススカート

マツヤさんのご自宅は、ワクワクで溢れていた。カラフルな洋服やアクセサリー、最近始めたという油絵の画材、所狭しと並べられたアニメフィギュア、タワーのように積み重ねられた本が飛び込んでくる。
「子どもの頃から収集癖があって、物に囲まれていると安心と幸福を感じるんです」とマツヤさん。なかでも惜しまず買ってしまうのは、洋服だとか。
「お手頃なファストファッションをちょこちょこ買うというより、デザイナーズブランドなどのこだわり抜かれた一着を手にすることが多いですね。珍しいデザインに胸がときめきますし、作り手の思いやブランドの歴史が宿っていることを考えると、自然と心が動くんです」
最近お迎えしてテンションが上がったのは、Chopova Lowena (チョポヴァ・ロウェナ)というロンドンにあるブランドのワンピーススカート。
「大好きな赤色とキラキラビーズのデザインに一目惚れ!私は、懐かしさのあるレトロなものに目がないので、胸元のモノクロ写真もぐっとくるポイントでした」

しかし、実際に購入したのは一目惚れしてひと月ほど経ってからのこと。気軽には手が出せない価格帯に、しばらく悩んでいたそう。
「想像していたよりも高額で……。だけど、人生いつ終わるかわからない!と自分を後押しして、思い切って迎え入れました。こんなふうに本当に好きなものを丁寧に選んで、大きな買い物を決断することが普段から多いですね」
「後悔はまったくありません」と語る理由は、その選択が作品づくりにもつながっているから。
「これは、MVの衣装で着るつもりです。他にも、フリルやレースがついている洋服を何着も持っているのですが、眺めたり触ったりしているだけでも、創作のイメージが膨らみます。イラストを描く時のインスピレーションにもなりますし、洋服の買い物は、もはや趣味というより創作の糧ですね」
動画撮影のために投資感覚で新調した、高画質なシネマカメラ
ここ数年で、洋服と同じくお金をかけたいものが出てきたというマツヤさん。それは、仕事道具。
「コロナ禍以前まで、自分の好きなことを発信できる場所があって嬉しい!くらいの気持ちでSNS活動をしていたのですが、ありがたいことに徐々に見てくれる方が増えて、本格的になっていきました。それにつれて、仕事で必要なものはケチらず買おうと思うようになったんです」
直近で購入したのは、SONYのシネマカメラ。すべて自分で撮影しているショート動画やMVを、もっと綺麗な画質で写すため。
「これまで使っていたカメラでも十分よかったのですが、やっぱり高画質な映像って、見る人の目を引くんですよね。思い切ってシネマカメラに買い替えてみたら、奥行きも立体感もボケ感も、すごくいい。高額でしたが、買って正解でした。仕事道具の買い物って成果と評価につながる。まさに未来への投資だなと思います」


つい先日は、作曲用の音楽ソフトも新たに導入。こちらは、仕事を円滑に進めるため。
「楽曲制作では編曲だけ外注しているんですが、頭のなかのイメージをちゃんと伝えたくて、独学でデモンストレーションをつくり始めました。あとは、ショート動画に使うBGMにも挑戦中。短くて簡単なものなら、自分でつくる方が楽ですから。最初はできなくても、買ってしまえばあとはやるだけ。仕事道具は、あれこれ悩まずに購入するに尽きます!」
影響をもたらし続けてくれる本と、買い物を通して目指す表現の話
間接的に仕事へ影響を与えるものとして、本も挙げてくれた。
「作品づくりのなかでインスピレーションがなかなか湧かない時は、だいたい本に頼ります。特に、言葉にまつわる本をよく読みますね。楽曲の作詞をする時にパラパラとめくって、歌詞に使えそうなフレーズを探したり」

昭和レトロなイラストを描くマツヤさんだが、その作風を定めるのを手伝ったのも、紛れもなく本だったという。
「私は画集オタクなのですが、40名のイラストレーターの作品を集めた『ニューレトロ イラストレーション』という画集を何気なく買ったら、配色やビジュアルの可愛さに衝撃を受けて。そのあたりから、無意識のうちに今のスタイルが確立されていった気がします。言葉の本も画集も、見返すたびに新しい発見があるので、私にとってはアイデアの宝庫ですね」


今回のインタビューで見せてくれたアイテムは、どれもマツヤさんの作品づくりに欠かせないもの。それらの買い物から、衣装決めも動画撮影も作詞・作曲もイラストも、なんでも自分でこなすマツヤさんの姿が浮かび上がってくる。そのパワーの源について聞いてみると、笑顔でこう答えてくれた。
「もともと、いろんなことに興味や好奇心を持っている性格ですが、今一番強いのは、 自分の世界観をできるだけ高い解像度で表現したいっていう気持ちです。自分でやれば、思い描いたことをみなさんにゼロ距離で伝えられますから。そのために必要なものや技術を、買い物を通じて手に入れている感じですね。たとえ失敗しても全然平気!買ってみて違ければ、違ったということがわかるだけ。無駄になるものなんて、一つもないんです」