ぼくのわたしの、未来を、買ったんだ。

  • 夢眠ねむ

    YUMEMI NEMU

    書店店主・キャラクタープロデューサー

  • ゆめみ・ねむ|三重県生まれ。アイドルユニット『でんぱ組.inc』の元メンバー。現在は、東京・下北沢の書店『夢眠書店』の経営、『たぬきゅんフレンズ』のキャラクタープロデュースなどを行う。2019年に芸人のバカリズムさんと結婚し、2023年に第1子を出産。

母として書店店主として。
夢眠ねむさんの、自分もまわりも幸せにする買い物

元『でんぱ組.inc』のメンバーであり、現在は下北沢の『夢眠書店』の店主として活動する夢眠ねむさん。

キャラクタープロデュースや育児にも奮闘する日々のなかで、自らを“物欲の塊だった”と語るが、母や書店店主となった今、買い物の物差しが大きく変化したという。3つの私的な買い物体験を通して、その価値観のアップデートを辿る。

育児と仕事、どちらも諦めないために選んだ“ご褒美”

出産のご褒美として購入した、東京乳母車の『プスプス キャンディー』。乗せているのは、夢眠さん自身がプロデュースしたキャラクター『たぬきゅん』のぬいぐるみ

2023年に第1子を出産した夢眠さん。緊急帝王切開での出産となり、予期せぬ事態となった時に購入を決めたのが、東京乳母車の『プスプス キャンディー』。クラシックで存在感のあるデザインに長らく惹かれながらも、ずっと購入をためらっていたという。

「心のどこかでずっと憧れていたんですが、私の普段着はジーパンにTシャツ。フリフリの服が似合うママなら絵になるけど、自分じゃ浮いちゃうかなって。だけど出産が緊急帝王切開になり、頑張ったんだから欲しいものを手に入れてもいいよねと思って、自分へのご褒美として買っちゃいました」

そうしてついに手に入れた乳母車は、ただの育児道具ではなく、働くママとなった夢眠さんを支えるパートナーに。

「産後2〜3カ月で夢眠書店に復帰したんですが、子どもを寝かせておけるのがすごく助かりました。この乳母車のかごのなかは布団をしっかり敷けるくらい広いし、静かで快適そう。乳母車に子どもを乗せて、一緒に過ごしながら仕事をして。これがあったからこそ、無理なく仕事に復帰できた気がします」

子どもが少し大きくなった今では、ぬいぐるみやTシャツを並べる陳列台として店内で活躍中。可愛さと機能を併せ持つこの乳母車は、お店の什器としてすっかり定着している。

「見た目が可愛くてテンションが上がるし、使わなくなった今でも別の使い道がある。そういうものって、長く愛せますよね」

自分らしいのがいい。買い物の価値観を変えた保冷温庫

大容量サイズなのに、持ち運びが楽なマキタの充電式保冷温庫

「一般的にはブランドバッグが手に入ると嬉しいお年頃。私にとってはこれこそが“ブランドバッグ”だったんです」

そう夢眠さんが語るのは、工具メーカー・マキタの充電式保冷温庫。マイナス18℃から60℃まで保冷・保温ができる、アウトドアや現場用に設計された本格派だ。夢眠さんにとっては、かつて所属していたアイドルグループ『でんぱ組.inc』との共演を果たすきっかけとなった特別なアイテムだという。

「2024年のロックフェス『風とロック芋煮会』に出店するために買ったんです。というのも、このフェスにはエンディング(終幕)を迎えることを発表していた『でんぱ組.inc』が出演することが決まっていて。私は芸能界を引退しているのでステージでの共演は叶わないけど、最後にどうしても共演したかったんです。それで、『夢眠書店』の出店という形だったら叶えられるかもって」

夢眠さんはマキタの掃除機を3台所有するくらいマキタ推し。この充電式保冷温庫は現在、夢眠書店やイベントでも大活躍しているのだそう

現在、下北沢の『夢眠書店』を営んでいる夢眠さん。フード出店という形でフェスに参戦するために必要だったのが、この保冷温庫だった。

「値段を調べてみたら、本体が10万円弱でこれはいけるかもって。バッテリーも購入するとなると予算オーバーではあったんですけど、やっぱり出店したい気持ちのほうが強かったんですよね。実際、イベント当日は、トークショーの形で一緒に舞台に立てて、宝物みたいな時間になりました」

こうして実現したかつての仲間との共演。それは夢眠さんの買い物に対する価値観を変えるきっかけとなった。

「みんなが持っているようなハイブランドのアイテムが欲しいなって思う瞬間は、少なからずありますよ。だけど、そういうものを持っている自分より、保冷温庫を持っている自分の方がなんかしっくりくる。今の自分に合っているというか。この保冷温庫を買ってから、自分が本当に必要なものや大切にしたいことは何かを考えるようになりました。明らかに買い物の価値観が変わった気がします」

子どもたちも大喜び。夢が詰まった大きなカプセルトイマシン

カプセルトイマシン『スパイラックス2』。これを見つけた子どもたちは、歓声をあげて喜んでくれるそう

『夢眠書店』の店頭で存在感を放つのは、業務用のカプセルトイマシン『スパイラックス2』。自らプロデュースしたキャラクターが初めてカプセルトイ化されたことを記念し、迎え入れた思い入れのある1台だ。

「買わなくてもいいものですが、自分のお店にカプセルトイマシンがあるって、ちょっと夢じゃないですか。しかもこれ、カプセルトイマシンのなかでも最大級に大きくて、マシンのなかをぐるぐる回ってカプセルが出てくるんです。お店に来てくれた子どもたちが、そういう様子を楽しんでいるのも嬉しくて」

この『スパイラックス2』はカプセルトイマシンとしての役割だけでなく、実用面でも活躍中。『夢眠書店』でお祭りやイベントを行う時には、オリジナルの金券をカプセルに入れて販売することもあるという。

「お金を直接やりとりしなくていいし、何よりお祭り感が出るんですよね。季節ごとにイベントをやるので、年中何かしらで活躍していて本当に便利なんです」

自分だけの満足から、誰かのためへ

「自分だけが嬉しくなるようなものは、もうあまり買わなくなりました」。そう語る夢眠さんの買い物の物差しは、結婚や出産を経てはっきりとした輪郭を持ち始めた。

「根がオタクだし、元々は物欲の塊なんです。同じものを10個買うとかザラにあって、今は歯を食いしばって、なんとか1個か2個に抑えています(笑)。大人になってしまったなぁと感じることもありますが、好きの理由が自分の経験や価値観としっかり結びついてきた気がします」

かつては“欲しいから買う”という衝動が原動力だったが、今は“何のために手にするのか”が明確になってきたという。

「“欲しい”という気持ちより、“必要かどうか”で判断して買うようになりました。もちろん、欲がゼロになったわけではありません(笑)。でもそれ以上に、この買い物が誰かのためになっているかを考えるようになったんです。たとえば、お店のオペレーションがスムーズになって、従業員が気持ちよく働けたり。お客さんや子どもたちのテンションが上がったり。そんな自己完結じゃない買い物が、今の自分にとって一番嬉しいんです」